2011年10月10日(月)「しんぶん赤旗」
主張
「体育の日」に
スポーツの権利実現めざそう
きょうは「体育の日」です。健康や体力増進に、なにか年齢に適した運動やスポーツをやっていますか? 2年前の世論調査では、運動不足を「感じる」と答えた人が約74%にものぼりました。しかも、年々増加傾向にあり、働きざかりの30歳代から50歳代が高くなっています。
なかなか運動やスポーツができない理由の一番に、「仕事(家事・育児)が忙しくて時間がないから」があがっています。運動不足を解消するには、まずは労働条件の確立と改善、休暇や自由時間の保障がともなわなければなりません。
運動やスポーツを日常に
せっかくの「体育の日」です。自分のからだと相談しながら、体操やウオーキングなど軽い運動をしてはどうでしょうか。あちこちで催される体力・運動能力の測定、体脂肪チェック、健康相談などの行事に出かけるのも一計です。
近くの野山を散策して気分転換もしたいものです。とはいっても、東日本の山々は放射能汚染が問題になっていますし、大震災や台風災害で新たな危険箇所も生じています。安心して自然に親しめる状態を、一日も早く取り戻さなければなりません。
健康や体力の増進をはかるには、運動やスポーツを日常の生活のなかで続けることです。身近に安く利用できるスポーツ施設があり、レベルに応じて気軽に参加できる教室やクラブがあれば、どんなに助かることでしょう。
スポーツをやれる条件は貧しいかぎりです。国民のスポーツ実施率が、欧米諸国の60%台に比べて30%台で伸び悩んでいる大きな要因になっています。問題は、長年の国の施策にあります。スポーツへの参加を個々人の努力にまかせ、施設の拡充や指導者の配置などの条件整備をおこたってきています。予算からもこれらにかかわる事業は削減、削除される一方です。ここを根本から切り替えなければなりません。
その根拠となるのが、今年6月に新たに制定されたスポーツ基本法です。前文と基本理念(第2条)で、「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」と明記しました。国民とスポーツの関係を画期的に引き上げた文言です。
日本共産党は、早くから「スポーツは国民の権利である」と主張してきた党として、法案作成過程でその条文化に奮闘しました。共同提案者となって賛成した理由のひとつも、この点にあります。
スポーツ基本法生かして
にもかかわらず、このほど文部科学省が発表した来年度のスポーツ関連予算の概算要求は、スポーツ基本法制定の“初年度予算”という意気込みがまったく感じられません。切実な要求になっている「身近なスポーツ施設の整備」関係費は、民主党政権のもとでも、棚上げされたままです。
これでは、「体育の日」に啓発されても、運動やスポーツを継続していくのは大変です。
スポーツ基本法を現実に生かしていくには、政府任せではなく、「権利はかちとらなければならない」と言えるでしょう。
「体育の日」を第一歩に、スポーツ条件の現状に目を向け、それを変えて「運動やスポーツをやりたい」との当然の権利の実現をめざすことを呼びかけます。
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