2011年10月9日(日)「しんぶん赤旗」

航空機製造大手 エアバス

独で1万1000人警告スト

雇用保障 派遣労働者の権利求める


 大手航空機メーカーのエアバス(英・独・仏・スペインの国際共同会社)で働くドイツの労働者1万1000人が7日、雇用保障と派遣労働者の権利擁護を求めて警告ストライキを実施しました。 (片岡正明)


 独金属産業労組(IGメタル、226万人)と同社の従業員を代表する事業所評議会は、2020年までの雇用保障と派遣労働者などの権利擁護を約束する労働協約の締結を求め、会社側と交渉していましたが5日に決裂。労組側が警告ストに踏み切りました。

 金属産業労組によると、ドイツ北部のハンブルク、ブレーメン、ブクスフーデ、シュターデの4工場で7日午前から警告ストを開始。正規労働者1万6000人のうち1万1000人以上が3交代のシフトで次々とストに入りました。午前10時には各工場でいっせいに職場集会を開き、ハンブルクで8000人、ブレーメンで2000人が参加しました。

 エアバスはこの間、派遣労働者を大幅に増やし、今年はじめにはドイツの従業員2万1000人中、派遣労働者が4800人となっていました。一方で、会社側は景気変動を理由に派遣労働者の解雇を実施してきました。

 労組側は、2年以上勤務した派遣労働者を正規労働者として雇用するよう要求。経営のあり方に意見を出して共同決定できる権利を正規労働者だけでなく派遣労働者に広げることも提案しています。

 エアバスは、将来的な工場の配置についてドイツの一部工場を閉鎖してフランスに移転する計画も排除していません。このため、労働者側は20年までの現工場の維持と雇用の保障を求めています。

 金属産業労組のフリードリッヒ労働協約担当は7日、ハンブルクの集会で「会社側は工場をフランスに移転すると脅しをかけている。労働者の圧力で撤回させよう」と呼び掛けました。


 警告ストライキ 組合員投票に基づいて行う正式なストライキとは異なり、労働組合が、正式なストの実施を“警告”するためにする示威行動のこと。労使交渉などで会社側に圧力を加えるために用いられます。日本などでは、労働者の権利の正当な行使とは認められておらず、法的責任が問われますが、ドイツでは、合法的な権利として認められています。





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