2011年10月9日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「七人の侍」ならぬ7人の野武士が、夏のパリをゆく。少し古い話ですが、あすの「体育の日」にちなみ、お許しを▼7人の野武士は、路上で生活する人たちのフットサル世界大会「ホームレス・ワールドカップ」の、日本代表チームです。名づけて「野武士ジャパン」。8月、フランスのパリで開かれた第9回大会に出ました▼野武士たちは、パスポートをとるのもむずかしい。主将の松田良啓さん(49)は、家を出て10年以上たち、戸籍の上では死んだ人でした。しかし、松田さんは考えます。「ここでまた逃げたら、今までと同じ」。手をつくし、やっと自分の存在をとり戻しました▼高城秋雄さん(22)は、17歳から路上で暮らします。高校生のとき突然、両親に「実は里親」と告げられ、施設に入れられました。サッカー経験者の高城さんも、決心します。「仲間を勇気づけられる人間に成長し戻ってきたい」。大震災のボランティアで働いてきた選手もいます。彼は会場で、実情を話し、各国の支援に感謝したのでした▼以上、『ビッグイシュー日本版』176号からの紹介です。さて試合は? 0勝13敗。48チームの最下位。しかし、負けても負けてもあきらめない野武士たちに、「勇敢賞」が贈られました▼松田さんが、同誌で語っています。「自分たちは、一度は人生をあきらめた人間。いろんな人の力を借りて、ようやく人生のパスが回り出した。あきらめずにパスをつないでいけば、最後には人生の1勝が待っていると思う」





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