2011年10月7日(金)「しんぶん赤旗」

小沢流錬金術問う

4億円の原資焦点 ゼネコンとの癒着解明を

本人出廷 初公判


 自民党幹事長も務め、田中角栄元首相、金丸信元副総裁、竹下登元首相のもとで、金権政治の本流を歩んできた民主党の小沢一郎元代表が6日、とうとう被告席に着きました。今回の政治資金規正法違反事件の背景として問われているもの、それは、小沢被告とゼネコンとの長年にわたる癒着関係であり、税金で行われる公共事業を食いものにしてきた小沢流錬金術です。 (藤沢忠明)


 1993年、ゼネコン疑惑や金丸氏への5億円ヤミ献金など、金権・腐敗政治への批判が高まるなかで、小沢被告は自民党を離党し、新生党を結成しました。細川連立政権が誕生することになった同年7月の総選挙で、同被告には、選挙中に国と契約関係のある企業からの寄付を禁止した公職選挙法違反の疑いが浮上しました。

 同被告の選挙運動費用収支報告書には、「日特建設」東北支店の100万円の寄付がありました。同社は、同被告の地元、岩手県胆沢町(当時)に建設省(同)が建設を予定していた胆沢ダムの関連工事「ダムサイト地質調査」を同年6月2日から選挙中も請け負っていました。

 企業献金はもともとワイロ性の強いものですが、現行法では認められています。しかし、国から仕事を請け負っている企業が、国政選挙のときに、その選挙に関する寄付をするのは癒着を生み出すもとになるので禁止しようというのが、公選法の趣旨です。

 日特建設の献金は、まさに、「胆沢ダムは小沢ダム」という癒着の“原点”でした。

 今回の陸山会事件の疑惑の核心は、東京・世田谷区の土地購入の原資4億円の出所です。

 元秘書3人への東京地裁判決(9月26日)は、公共工事の受注業者選定に対する小沢事務所の影響力に言及し、こうした影響力を背景に、「天の声」の発出役という立場を使い、ゼネコンなどに多額の献金を行わせていたと指摘。こうした長年にわたる企業との癒着の実態が明るみに出るのを避けることが、政治資金収支報告書の虚偽記載の理由だったと判断しました。

 同判決は、胆沢ダム建設工事にからむ水谷建設の1億円ウラ献金や西松建設のダミー(隠れみの)政治団体による献金も認定しましたが、小沢被告をめぐっては、これまでも、清水建設のヤミ献金リストのAランク(盆暮れに各500万円)になっていたこと、鹿島からのヤミ献金500万円などが指摘されてきました。

 虚偽記載をして購入原資を隠そうとしたのは、膨大なゼネコンマネー、公共工事での裏金づくりを世論の追及から避けるためだったのではないか―。本来、贈収賄罪にも問われるべき問題です。小沢被告には、司法の場とは別に国民に対し明確に説明する政治的・道義的責任があります。





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