2011年10月5日(水)「しんぶん赤旗」
大阪「教育基本条例案」批判広がる
校長・PTA役員も
教員の評価「信頼関係つぶれる」 競争、競争では人間性育たない
橋下徹大阪府知事が率いる「大阪維新の会」が府議会に提出している「教育基本条例案」に、大阪教職員組合や日本ペンクラブ、大阪弁護士会に加えて、府立高校の校長、PTA役員と立場を超えて批判が広がっています。 (大阪府・小浜明代)
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統廃合に困惑
3日夜、「維新の会」と府立高校の校長との意見交換がありました。大きな「日の丸」が壁に掲げてある府庁内の「維新の会」府議団の部屋。出席した校長は、進学校や今年の入試で定員割れとなった学校、支援学校、民間人校長など計7人。民間人校長は条例案に賛意を表明しましたが、それ以外の校長は疑問を呈し、反発しました。
茨木高校の山口禎校長は「D5%はできない。教師との信頼関係がつぶれる。毎年何人かがやめていくとなったら恐怖」と発言。たまがわ支援学校の鈴木和夫校長も「多様な生徒に対応するには多様な人材がいる。評価は教育の特性からしても適していると思えない」と批判しました。
校長らは「3年連続定員割れの学校は統廃合」とする条文にも反論しました。生徒6割以上が授業料の減免などの支援対象で、今年度定員割れした西成高校の山田勝治校長は「定員割れ(の原因)には私学の無償化があるのでは。学校の努力以外の部分が大きい」とし、「セーフティーネットとしての役割がある私たちの高校からみて困惑する」と訴えました。
子を部品扱い
全府立高校の校長を任期付きで公募すると盛り込んでいる条例案。府立高等学校教職員組合(府高教)の組合員が職場で集めている条例案撤回を求める署名に、ある校長は署名用紙を読み、「立場上署名はできないが、みなさんと思いは同じです」。署名は1カ月間で非正規・臨時教員を含む全教職員の6割強、6400人余が応じました。
PTA役員も「条例案はおかしい」との声をあげています。
「子どもを『人材』って呼んで、まるで部品扱いだ」。府南部の府立高校のPTA会長は「競争、競争では、どうせ自分なんてといじける子どもが増える。子どもには人間性豊かに育ってほしい。親からみて、いいと思っている先生が学校からいなくなったら子どもはいったいどうなるのか」と憤ります。
教育基本条例案 「大阪維新の会」が9月府議会に提出している条例案。▽知事が公立学校の教育目標を決め、目標実現の責務を果たさない教育委員は知事が罷免できる▽教員をSABCDの5段階で相対評価し、2年連続Dとなった教員は分限処分の対象となる。必ず5%は最低のDランクにする―などを盛り込んでいます。