2011年10月4日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
野田政権は「税と社会保障の一体改革」と称して消費税引き上げ法案を来年3月までに国会に提出する方針です。おかしくないでしょうか。なぜ税と社会保障が「一体」なのでしょう▼二つは国の収入と支出で、本来別のはず。なぜ社会保障だけがやり玉にあがるのか。「税と軍事費の一体改革」「税と無駄な公共事業の一体改革」などというものはありません。「社会保障を削られたくなければ増税を受け入れろ」という意図が透けて見えます▼消費税が1989年に導入されてから22年たちますが、社会保障は悪くなる一方です。医療費の国民負担は増え、年金の支給額は削られてきました。社会保障に対する国庫負担の割合は決して増えていません▼なぜ消費税か。「一体改革」に向けた有識者検討会では「負担の先送りをしない安定財源」という考えも示されました。これも変です。消費税を上げれば負担は後の世代に及びます。孫子の代にもつけを回すのが消費税です▼消費税増税を主張する専門家による集中検討会議の研究報告は「消費税は比較的景気に左右されない安定的な財源」と絶賛します。取られる側から言えば、給与が下がろうが、生活が苦しくなろうが、おかまいなしに取られる税金ということです▼良くも悪くも政治は言葉だとつくづく思います。汚いものをきれいに見せかけるのも言葉の技。大手メディアが当たり前のように伝える政府のスローガンにうそが潜んでいます。だまされないよう、よく考えて見抜きたい。