2011年10月3日(月)「しんぶん赤旗」
「地滑り止めて」 仙台市と交渉
住民が「会」結成
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仙台市は、東日本大震災で、内陸の丘陵部でも大きな被害を受けました。泉区南光台東1丁目も、そのひとつです。調整池の擁壁が崩れて起きている地すべり、宅地の地盤沈下、地割れなどが至る所でみられ、「家を直しても住み続けられるのか」「個人の力ではどうにもできない」との声が上がっています。
同地域は、市街地から直線距離で約5キロメートルに位置する住宅街です。合併前の泉市時代の1950年代後半から、民間会社が大規模に造成した住宅団地。開発当時から住む住民と、最近は若い世代も増えてきています。
同地区の住民たちは6月、「地すべりを止める会」を発足させました。町内会とも協力し、一人ひとりが被害の状況を克明に書いた要望書を市に提出。3回の交渉を行い、地盤被害の詳しい調査を求めてきました。
事務局長を務める藤村三郎さん(76)は「会で交渉するなかで、市がコンサルタント会社を入れて地域を調査していることを知りました。その結果を公表させたことで、初めて自分の家が盛り土の上にあったことを知った人もいます。市は、調べたことはすぐに住民に教えてほしい」と話します。
同会の代表世話人で、調整池のわきに住む斉藤峻さんは「家の傾きを直すためにジャッキアップすると、1000万円ほどかかるといわれました。個人には負担が大きすぎる」。
現在、宅地被害には直接的な支援制度はありません。市の担当者は、「国の支援がなければ、住民の要求にこたえきれない。国は早く方針を決めてほしい」と話します。また、国が進める「大規模盛り土造成地滑動(かつどう)崩落防止」復旧事業の活用を考えた場合も、面積、被災家屋の戸数など「適用要件が厳しい」といいます。
日本共産党の仙台市議団は9月定例会で、地すべりなど宅地被害に対し、自己負担を軽減する、市独自の支援策の必要性を訴えました。市の都市整備局長は、「本市独自の支援制度の制度設計は国の3次補正予算をふまえすすめていく」と答弁。泉区選出の、ふるくぼ和子仙台市議は、「政府は、宅地被害の支援を第3次補正予算で明確に示してほしい」と話しました。(栗原千鶴)