2011年10月2日(日)「しんぶん赤旗」
専業主婦年金見直し案
世帯単位の負担・給付変わらず
遺族年金など不利の恐れも
厚生労働省は9月29日の社会保障審議会年金部会に、サラリーマンや公務員に扶養されている妻(第3号被保険者)の年金制度の見直し案を示しました。夫が支払っている保険料の半分を妻が払ったとみなし、夫が受け取る厚生年金の半分を妻の厚生年金として基礎年金に上乗せします。世帯単位で見れば、負担と給付は変わりません。ただし、どちらか先に死亡した場合、残された遺族が受け取る年金が減る恐れがあります。
現行制度では、第3号被保険者(1021万人)は保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができます。3号の分の保険料は、被用者保険の加入者全体で負担しています。これまでの見直し議論で、新たに負担を求めたり、給付を削減する案はまとまらなかった経緯があります。
この日示された案では、夫名義の厚生年金は現行の半分になるため、妻が先に亡くなった場合、夫の厚生年金が半分になる恐れがあります。夫が死亡した場合、現在、妻は夫の厚生年金の75%を遺族年金として受け取れます。遺族年金の設計の仕方によっては遺族年金が減る可能性があり、今後の論点とされています。
この日の部会では、遺族年金の扱いを検討すべきだとの意見が出たほかは、改定案への賛成意見がほとんどでした。
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