2011年10月1日(土)「しんぶん赤旗」

“私の米が売れないという話は聞かない”

九電社員 農家装う

05年討論会


 九州電力の第三者委員会が30日に取りまとめた最終報告書は、佐賀県の古川康知事が九電の「よき理解者」と断じました。この癒着は、原子力行政をめぐる大きな局面で発揮されていることがわかりました。


第三者委最終報告 やらせ生々しく

 「私の家の方で作っている米とか野菜が放射能の影響で売れなくなったという話は聞かない」

 最終報告で新たに明らかになった、九電によるやらせの手口。2005年の佐賀県主催の住民討論会で、九電社員が農家を装った発言をしていたのでした。

 この討論会は、玄海原発3号機へのプルサーマル導入について、県民の意見を聞く場でした。

 東京電力や関西電力が、住民の反対でプルサーマル導入が暗礁に乗り上げた中、九電は日本初の導入を目指していました。

 この県民討論会で古川知事はラジオなどで「質問の時間を長くして、賛成派、慎重派の両方から議論する必要がある」と、注文していました。

台本案つくり

 これを受けて、九電は社員や関係者に参加を呼びかけ。約1000人の応募者のうち、717人の「九電関係者」が応募していました。そして、会場のブロックごとに、「仕込み」の質問者を配置し、質問メモを渡していました。「最後の質問は推進の質問で終わる」と書いた九電作成の台本案もつくられていました。

 この結果、質問コーナーがはじまってから3人目までが、いずれも「仕込み質問者」となる事態に。

 この討論会の内容は、古川知事の事前了解につながります。

 「これ(異様な推進意見)を会場で聞いていた古川知事がなんら疑問を持たないわけがない」と第三者委員会の郷原信郎委員長が指摘するほどです。佐賀県についても「主催者である佐賀県の関与なしに、九州電力が独断独自に実行することは不可能」と、「やらせ」を「容認」していたと断定しました。

“良き理解者”

 古川知事と九電について、最終報告は、こうも指摘しています。

 「古川知事の実父は、長年九州電力の社員として、玄海原発の建設に携わっていた。(略)九電は、古川知事は、九電の良き理解者であり、原子力事業やプルサーマル計画に対して、肯定的で前向きな姿勢を有していると受け止めていた」

 今回の玄海原発2、3号機の再稼働をめぐる「やらせメール」問題でも、古川知事が、原発行政の分岐点で突破口を開く役割を果たしていたことは明白です。

 ある課長級社員は、第三者委員会の聞き取り調査で、こう発言していたといいます。

 「知事からわれわれがやろうとしていたことと同じ意見をいただいていることは重要だった」

 古川知事には、癒着について明快な説明が求められています。

“不透明な関係” 知事は明らかにすべき

 日本共産党の武藤明美県議の話 古川知事の発言が「やらせメール」の発端となったことや、新たに全国に先駆けてプルサーマル発電にゴーサインを出すきっかけとなった2005年の公開討論会での県による仕込み問題も新たに明らかになりました。知事は自ら指摘された九電との“不透明な関係”も含め真相を明らかにすべきです。私も県民とともに世論と運動を強めて知事の責任を追及したい。





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