2011年9月30日(金)「しんぶん赤旗」
年金数年で2.5%減額
厚労省提案 その後は毎年0.9%削減
厚生労働省は29日、社会保障審議会年金部会に年金支給額を引き下げる制度改悪案を示しました。3年程度かけて2・5%削減したうえで、その後は、現在、物価下落時には適用されていない「マクロ経済スライド」の適用拡大により、毎年、物価下落幅に加えて0・9%の年金引き下げを行うとしています。
2・5%の減額で、月約6万6000円の基礎年金(満額)は約6万4000円に減ります。3年間で削減した場合、減額幅は1年当たり0・8〜0・9%で、月額約550円の減額となります。厚生年金では、これに加えて報酬比例部分も減り、月約23万円受給する「標準世帯」の場合、月に2000円程度減ります。これにより毎年1000億円程度の公費が削減できるとしています。
政府は、過去の物価下落時に「物価スライド」を適用せず年金額をすえ置いたことなどから、「現在の受給額は本来の水準より2・5%高い」とし、それを「解消する」としています。しかし、物価スライドのもとになる消費者物価でおもに下がっているのはノートパソコンなど。一方、医療・介護保険料の値上げ、増税などは反映されていません。
この日の年金部会では、一部の委員が基礎年金までマクロ経済スライドで減額することに慎重な意見を述べたほかは、減額を「速やかにやるべきだ」という意見が大勢を占めました。
マクロ経済スライド 労働力人口の減少率と平均余命の伸び率の合計分(現在は0・9%)、年金額を抑制する仕組み。物価下落時に適用すると、物価スライド分に加えマクロ経済スライド分、年金が減額されます。年金(名目)額が減らない範囲で適用、物価下落時には適用しない、というルールが設けられているため、これまで適用されませんでした。このルールを取り払おうとしています。