2011年9月28日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「読め、読め、読めるものなら読んでみろ」。もう一方では「読むな、読むな、読ませないぞ」▼いやはや、なんとも人をみくびった使い分けです。「読め、読んでみろ」は、東京電力が原発災害の被害者に送りつけている書類です。損害賠償を東電に求めるための、説明書だけでも156ページ、記入する請求書が60ページ▼日本共産党の志位委員長が、きのうの国会で被害者の声を紹介しました。「読むだけで1週間はかかるんじゃないか」「手続きをわざとむずかしくして、申請を諦めさせようとしているんじゃないか」▼「読むな、読ませないぞ」は、東電が国会の委員会に提出した、事故が起きたときの運転操作の手順書です。ほとんど、真っ黒にぬりつぶして示しました。福島第1原発のような「過酷事故」の場合の手順書は、目次から黒ぬり、中身も不明。手順書は、事故の原因を調べるうえで欠かせません▼「東電に加害者という自覚があるのか」と志位さん。さすがに政府側も、請求書類のわずらわしさや手順書の黒ぬりを改善させると応じました。しかし、疑いはぬぐえません。東電は、政府の足元をみて無礼をはたらいているのでは、と▼“賠償はほどほどに”から抜けきれない政府。事故の始末はおろか原因の調査も終わっていないうちに、全国の原発を動かそうという政府。こんな東電や政府をみるにつけ、「原発を日本の社会が許容していいのかが問われる」(志位さん)という警告が、よけい現実味をともなって聞こえます。