2011年9月26日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

笠井政策委員長代理の発言


 日本共産党の笠井亮政策委員長代理が25日のNHK番組「日曜討論」で行った発言を紹介します。


首相の国連演説・日米首脳会談

原発・沖縄新基地・TPP、米国に顔向け国民には背

 野田佳彦首相の初訪米について議論となり、自民党の石破茂政調会長や公明党の石井啓一政調会長は、環太平洋連携協定(TPP)や普天間基地問題をあげ、米国に求められた課題の実行を迫りました。

 笠井氏は次のように述べました。

 笠井 国連演説で原発の推進や再稼働、輸出の方向を打ち出しました。福島県民ぐるみ、国民の7〜8割が原発撤退と言っているのに、まったく逆のことを言ったと思います。

 「日米同盟の深化」と言ってやろうとしているのは、(沖縄県名護市)辺野古の新基地建設に全力をあげることです。沖縄県民ぐるみ、国民の多くが反対していることを約束する。TPPもそうです。

 野田新政権は、国内では低姿勢で国民や各党の意見を聞くと言いながら、国際舞台に出たらアメリカには顔を向けるけれど、沖縄県民や国民には背を向けるという、逆のことになっている。こういう外交姿勢ではいけないと思います。

普天間基地問題

沖縄総意は県内「移設」反対、無条件撤去で米と交渉を 

 沖縄の米軍普天間基地問題について民主党の前原誠司政調会長は「日米合意を履行していく」と、辺野古の新基地建設推進を改めて表明。石破氏は沖縄の米海兵隊の重要性を説き、石井氏は「内閣の命運をかけるべき」だなどと述べました。

 これに対し笠井氏は、「野田首相は、普天間(基地)の固定化を避けなければいけないと言うが、もともと沖縄の基地の危険をなくし負担軽減をしていくのが出発点。それを辺野古に新たにつくるというのはとんでもない」と指摘したうえで、次のように強調しました。

 笠井 「沖縄に海兵隊が必要」と言うが、世界やアジアでは、軍事よりも話し合いで解決する外交が流れです。仲井真(沖縄県)知事がアメリカで言いましたけれども、41市町村のすべての長とすべての県議が、「県内移設反対」「日米合意見直せ」と言っているわけです。首相は沖縄を説得すると言うが、結局、県民の声に耳を傾けず、新たな負担という点では、危険なオスプレイを配備しようとする。やはり沖縄の立場にたち、「普天間(基地)は無条件撤去だ」と、アメリカと本腰いれて交渉する以外にないと言いたい。

 石破氏が、中国や朝鮮半島の問題をあげ、「(軍事力の)バランスが崩れたら何が起こるかわからない」などと反論しました。

 笠井 いろんな動きに対し軍事的対応をするのか。動的防衛力の強化とか言うが、そういうことで軍拡になってはいけない、というのが大きな問題です。

武器輸出三原則見直し・自衛隊の武器使用基準緩和

9条持つ国で許されない、政府も否定してきた議論

 次に、前原氏が武器輸出三原則見直しと自衛隊の武器使用基準緩和に言及した問題が議論になりました。

 笠井氏は次のように発言しました。

 笠井 この二つの問題はいずれも憲法9条でやってはいけないこと(です)。政府も(これまで)やれないと言ってきたことなんです。それをいよいよ、民主党と自民党が一緒になってやろうという話だと私は聞きました。武器輸出三原則の問題も、憲法9条をもつ平和国家だからこそ、これまでも1970年代の三木内閣の時に「(輸出を)慎む」と言い、81年には衆参両院において全会一致で輸出禁止という決議もあげてきたわけです。外務省も原則として武器輸出をおこなっていないことが、国際社会をリードする日本ならではの役割だと言ってきました。

 いよいよ外交的な日本の役割が大きい時に、自民党、自公政権時代にあけたような風穴をさらに大きくしていく、形がい化することはあってはならないと思います。

南スーダン自衛隊派遣

治安は危険で武力行使も、民生安定や生活支援こそ

 南スーダンへの自衛隊派遣問題については慎重な意見が相次ぎました。

 笠井 南スーダンは戦闘状況があったり治安が危険な状況にある。そういうところに自衛隊部隊を派遣すれば、武力行使せざるを得ない状況がうまれる。憲法上からいっても、派遣できる状況ではないのが一点です。

 政府自身、2年前からスーダンに地上部隊の派遣を検討してきたが、見送ってきたものです。野田首相は国会では一言もないままに、国連の舞台で検討すると前のめりになっている。無理なところに行こうとするから、武器使用の基準緩和という問題がでてくるので、いかに危険な方向かというのが二つ目です。

 日本の得意分野というのなら9条です。民生安定や生活支援で、日本らしい役割をどうするか真剣に考えるべきだと思います。

第3次補正、復興財源

法人税減税10年で12兆円、庶民増税しなくてすむ 

 最後に、第3次補正予算や財源が議論となりました。民自公代表は、3党協議で進める姿勢を示しました。

 笠井氏は次のように述べました。

 笠井 私どもは不要不急の公共事業、原発予算、政党助成金(廃止)の問題を言ってきました。軍事費も、アメリカ、ヨーロッパでは減らす方向です。(米軍への)「思いやり」予算やグアム基地建設だけではなく、ヘリ空母の問題とか海外派兵型の装備についてもメスを入れることを、きちっとやる必要がある。

 法人税でゆきすぎた減税をしてきたという点でいうと、5%(減税)で、財務省の試算でも年間1・2兆円です。10年やれば12兆円。それをやめれば、所得税でサラリーマンや自営業者に増税しなくてすむ。富裕層の証券優遇税制の問題もきちんとメスをいれることで、財源をつくるべきだと思います。





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