2011年9月25日(日)「しんぶん赤旗」

パレスチナ 国連加盟申請

アッバス議長「独立の時」

米は拒否


 【ニューヨーク=田中一郎】パレスチナ自治政府のアッバス議長は23日、ニューヨークの国連本部で、潘(パン)基(ギ)文(ムン)事務総長に国連への加盟申請書を正式に手渡しました。加盟は、安全保障理事会の勧告にもとづき国連総会で決定します。潘氏は同日、安保理議長に申請書を提出し、加盟に必要な手続きが始まりました。 (関連記事)

 申請後、国連総会の一般討論でアッバス議長は、出席者多数の拍手で迎えられ、イスラエルによる占領の苦難を終わらせるときがきたと強調。「アラブの春でアラブ民衆は民主主義を求めた。そして今、パレスチナの春―独立を求めるときだ」と訴え、提出した加盟申請書のコピーを掲げると、ひときわ大きな拍手がわき起こりました。

 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、国連が毎年、パレスチナ占領への非難を繰り返してきたことに「愚か者の劇場」などと口汚くののしりました。

 イスラエル寄りの米国は、パレスチナの国連加盟を拒否する立場。安保理で拒否権を発動する方針を公言し、関係各国に加盟に反対するよう猛烈な圧力をかけており、今後の推移は不透明です。

 中東和平を仲介する米国、ロシア、欧州連合(EU)、国連の4者(カルテット)は同日、会合を開き、両者に交渉を促す提案をまとめました。同案は▽1カ月以内に当事者間の準備会合▽6カ月以内に実質な前進▽適切な時期にモスクワで国際会議▽交渉期限は2012年末まで―などを柱としています。


 パレスチナの国連加盟問題 第2次大戦後、英国の委任統治領だったパレスチナは、国連によってユダヤ人とアラブ人の領土に分割されました。その後、ユダヤ人はイスラエルを建国。1967年の第3次中東戦争でアラブ人の居住地である東エルサレムと、ヨルダン川西岸、ガザ地区を占領しました。93年のオスロ合意を契機に和平交渉でパレスチナ国家樹立をめざす動きが本格化しました。しかしイスラエルの占領地での入植地拡大、イスラエルの無法行為を事実上黙認する米国の対応にパレスチナ側は交渉継続を断念。国連加盟申請による国家樹立への道に踏み切りました。





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