2011年9月24日(土)「しんぶん赤旗」

被災者本位の復興を考える

仙台でシンポ


 「東日本大震災・原発事故 被災地から福祉国家を展望する」シンポジウムが23日、仙台市内で行われ、約120人が参加しました。主催は福祉国家構想研究会、自治体問題研究所など。4人の研究者が被災者の意思に基づく復興のあり方について報告、熱心な討論が行われました。

 東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター代表世話人の日野秀逸・東北大学名誉教授は、宮城県震災復興会議の委員が地元の人間がほとんどいないことを指摘し、「被災者や現地から復興再建を考えるのか、上から考えるのか、対抗軸がはっきりしてきた」と語りました。

 福島県復興ビジョン検討委員会座長代行を務める山川充夫・福島大学教授は、各地で復興ビジョンが策定されているなかで、「前提として放射性物質の除染が問題になる」と語りました。また福島県外に多くの人が自主避難している状況の中で、情報供給の難しさや今後、孤独死などの問題が起きる可能性についても言及しました。

 京都大学大学院の岡田知弘教授は、復興を口実に、TPP(環太平洋連携協定)の参加や道州制の推進などを促す態度をとる政府や財界を厳しく批判。阪神・淡路大震災で「創造的復興」という名で行われた空港建設や再開発などで赤字が出ている状況などを紹介し、住民本位の復興の重要性を語りました。

 後藤道夫・都留文科大学教授は、所得に関係なく、すべての人が福祉の対象となる社会保障観を持つことの大切さを強調。「福祉国家型の社会原則について、国民の間で合意をつくることは今後の課題だ」と語りました。





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