2011年9月24日(土)「しんぶん赤旗」

街の将来像 地域の総合力 補助金

被災医療再建へ支援を

仙台でシンポ 国に対応求める


 東日本大震災の復興と医療再生を考えるシンポジウムが23日、仙台市で開かれました。主催はドクターズ・デモンストレーション2011実行委員会。各報告者らは、被災地の民間医療機関の再建へ国の補助がないことや医療・福祉・介護の総合的な対応の必要性などを語りました。


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(写真)震災復興と医療再生を考えようと開かれたシンポジウム=23日、仙台市

 宮城県医師会の桜井芳明副会長が「永久的な診療所を建てるには(自治体の復興基本)計画自体ができてないので、行政が先に行かないと医療はどうにもならない」と発言。街の将来像が分からない中で再開する場所が決められない被災地の医療機関の問題点を語りました。

 宮城県塩釜市の災害拠点病院である坂総合病院の今田隆一院長は、被災地の医療が身体ケアから精神ケアに移行するなかで医療だけでなく地域の総合力が必要と指摘。憲法25条に基づき生活支援を含めた国と関係自治体の支援の必要性を強調しました。

 宮城県保険医協会の北村龍男理事長は協会のアンケートで診療所を再建するために国の補助金が必要であることが浮き彫りになったことを明らかにしました。「被災民間医療機関への補助がまったくない。それから移転再開についても補助の対象に認めてほしい」と求めました。

 宮城県歯科医師会の細谷仁憲会長は、歯科の医療費が震災前から抑制政策により10年以上横ばいだったことや県などの災害時の医療情報連絡網に歯科が入っていないことを指摘。口腔ケアが医療費を下げることにもつながることを示し、民間歯科医療機関再建への補助金の必要性を強調しました。

 シンポジウムでは、国民皆保険制度の堅持や診療報酬の増額実現の必要性を指摘し、医療・福祉・介護の復旧に特別な援助を行うことを求める声明を採択しました。

 医師や歯科医師らで結成した同実行委員会は、来年度の診療報酬改定での大幅引き上げや被災者の医療・介護保険の保険料の長期的な免除などを求めて11月20日に集会を計画しています。





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