2011年9月21日(水)「しんぶん赤旗」

子ども手当 10月に1420万人減額

3割が負担増のおそれ


 民主、自民、公明3党の合意にもとづいて子ども手当の支給額を削減する子ども手当特別措置法が10月から施行(半年間)されます。支給額が減るにとどまらず、子ども手当導入前に比べ負担増となる世帯が生じ、子どもの約3割は負担増になるおそれがあります。

 民主党政権の目玉政策だった子ども手当は、2010年度から中学卒業までの子ども1人あたり月1万3千円で開始されました。マニフェスト(政権公約)では、11年度から月額2万6千円を約束していましたが、上乗せを断念。11年度は9月まで月額1万3千円を継続していました。

 10月(支給は2月)からは、3歳未満は1万5千円、3歳から小学生の第1、2子と中学生は1万円などになります(表)。3歳未満や第3子以降など増額になる子が300万人なのに対し、減額されるのは1420万人にのぼります。

差し引き増税

 民主党政権は子ども手当の財源のために、年少扶養控除を廃止しました(所得税は11年1月から、住民税は12年6月から実施)。この増税によって、子ども手当が支給されても「差し引き増税」になる世帯が生まれます。

 さらに2012年度からは所得制限を行うことが民自公3党で合意されています。(両親と子ども2人の世帯で年収960万円程度)

 サラリーマン共働きで子ども(小学生以下)1人の世帯では、年収426万円から775万円の間の世帯と、年収876万円以上の世帯が増税に。サラリーマン片働きで子ども(同)1人世帯では、年収473万円から817万円の間と、年収918万円以上が増税となります。(過去の児童手当の計算方法を仮定して計算した場合)=グラフ

 子どもの3割前後が、子ども手当導入前より負担増になる可能性があります。

 3党合意では、所得制限で負担増となる世帯には、扶養控除のあり方などを「総合的に検討する」と明記しています。一方、所得制限以下の中堅層で「差し引き増税」となる世帯には、なんの対策も示していません。

 小宮山洋子厚生労働相は、「負担増は避けたい」とのべていますが、財源を伴う具体策は示していません。このままでは、中堅層で「差し引き増税」になる子どもの数は300万人を超え、子ども全体の2割前後にのぼる可能性があります。

滞納も天引き

 さらに10月からは、子ども手当から給食費、保育料、放課後学童クラブの費用、教材費、修学旅行の積み立てなどが天引きできるようになります。保育料は親の同意なしで天引きできます。厚労省は過去の滞納分についても、親の同意を条件として、天引きできるとしています。

 「子育て支援」を掲げて政権につきながら、子ども手当導入前より負担増になる世帯を大量に生み出し、保育料は強制的に天引き―たまったものではありません。

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