2011年9月20日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「放送を語る会」の放送フォーラムで、NHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の七沢潔ディレクターの話を聞く機会がありました。原発事故のわずか4日後に科学者が現地に入り、独自に放射能汚染地図をつくる過程を追ったもので、今年度のJCJ大賞を受賞しています▼5月15日に放送された番組は大反響。すでに第3弾まで放送されています。NHKに入局して30年になる七沢さんですが、「放送後、会う人会う人に、『ありがとう』と言われたのは初めてに近い。こんなうれしいことはない」と▼番組は文部科学省が「即時退避」レベルの高線量を計測していながら、アリバイ的にホームページに載せるだけで、当の自治体に知らせていなかった事実も明らかにしました。「政府はいざというとき、住民を救わない」と七沢さん。情報開示しないのは、国家の自己保存を住民の健康問題より優先させているからだ、と見ています▼フォーラムでは、「放送を語る会」が4月の原発報道を検証した結果も報告されました。NHKならびに民放4局のニュース番組が対象です。政府と専門家の見解をストレートに放送した報道が大半だったことが浮かび上がります▼一方の七沢さんたちの合言葉は、「地べたでいこう」。上から目線ではなく見る人の視点で、というわけです▼戦前、国策宣伝機関として戦争をあおったNHK。合言葉には自主自律の報道機関である今、同じ轍(てつ)を踏んではならない、との決意が込められています。





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