2011年9月20日(火)「しんぶん赤旗」

維新の会 2条例案

大阪府幹部職員 猛反発

意見交換 激論5時間超

「子ども傷つける」「人間の感情わかってない」


 「多くの職員が意気消沈した」「人間の感情を理解していない」―。橋下徹大阪府知事が率いる「大阪維新の会」が20日開会の府議会に提出予定の「職員基本条例案」「教育基本条例案」に対し、橋下知事とともに府政、教育行政をすすめてきた府と府教育委員会の幹部職員がこう猛反発しています。(大阪府・小浜明代)


 16日に府庁で開かれた府・府教委幹部と「維新」府議団との意見交換会。議論はのべ5時間以上にわたりました。府と府教委幹部が固い表情で、両条例案への疑問や問題点を指摘すると、意見交換を申し入れた「維新」の一部議員は会場を出たり入ったり。隣同士でおしゃべりする姿が目につきました。

展示に難くせ

 「教育案」に「子どもを傷つける」「人間の感情を理解していない」と、府教委側から批判が集中しました。

 「知事が学校の教育目標を設定する」という問題で、「維新」側は、府と大阪市が運営するピースおおさか(大阪国際平和センター)で行われた平和を求める展示に難くせをつけ、「学習指導要領に準拠せず、生首の写真を見せて子どもたちが自虐的にならないか」と発言。知事の意向を教育に反映できるようにしたいとのべました。

 中西正人教育長は「知事が教育目標を決めるというのが条例の核心部分だ。教育委員を罷免できるとすることとつながっている」と批判しました。

 学力テストの結果を学校別に公表することについて、府教委側は「子どもへの計り知れない影響を危惧する。市町村の頭ごなしは避けるべきだ」「学校の格付けが地域の格付けになれば誰が責任をとるのか」と聞くと、「維新」側は「学校と地域の課題がわかる」と地域格差を当然視しました。

 3年連続定員割れの府立高校を統廃合するとの「教育条例案」について、府教委が「地理的条件やこれまでの取り組みなどトータルな検討が必要。画一的にすべきでない」と求めたのに対し、「維新」側は「私学は3年連続定員割れすればつぶれる」「学校をなくせば何が問題か」と無責任な答えをくり返しました。

あきれる一幕

 教員の5%を最低評価する「教育条例案」について府教委が言及。「画一的にするのは絶対に間違っている。民間でも相対評価は成功していない。公務員、教育組織に相対評価はなじまない」と強調。「維新」側は「指導力不足の先生の洗い出しのために必要」とあくまでも評価するとしました。

 校長を任期制で公募する「教育案」について、府教委が「校長には教育に関する識見が必要。優秀な人材が確保できるか疑問」との質問に、「維新」側は「全国から集まる」と突っぱねました。さらに、教育委員の罷免について、「目標が実現できなければ交代するのは当然」だと居直り、中西教育長が「人間の感情をまったく理解されていない」とあきれる一幕もありました。

 「職員条例案」は、職員をS、A、B、C、Dの5段階に分け、5%は必ず最低のD評価とし、2年連続Dとされた職員を首にできるという異常なものです。

 「維新」側から「競争を刺激し、やる気のある職員はそれに見合ったポジション、報酬をつけるというもの」だと説明したのに対し、小西禎一総務部長は「多くの職員は努力している。職員を励ますものになるのか」と反問しました。

 橋下知事が就任した際、「倒産会社の社員」とののしられ、全国的にも厳しい給与削減もすすめてきたと述べ、「必要なことはしている。多くの職員は条例案に意気消沈した」と訴えました。人事評価も「免職者を出さんがためのものならやめていただきたい。なぜ5%に固定化するのかわからない」と訴えました。

 これにたいし「維新」側は「民間企業経験者からみれば5%というのが普通」として、課ごとにランク付けしたらいいと平然と答えました。

 小西部長は「職員の処分は、個別の対応を丁寧にしていくことが大事。職員は府民にとって貴重な財産だ」と話しました。





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