2011年9月18日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 台風は、立春から二百十日のころよりも二百二十日あたりに多い、といいます。11日が二百二十日でした▼前後して、台風12号が襲い、その傷が癒えないうちに15・16号が列島を脅かします。台風は、昔は「野分(のわき)」とよばれました。野の草を分けて吹きすさぶ風。大事な稲穂の実る田野を荒らす、嵐のようすも想像させる言葉です▼野分がよく吹く9月、木々の葉や草の緑は、くたびれ気味にみえます。うるおいに欠け、ややくすんだ緑。濃淡もあまり感じられません。野の花の種類も限られてきます。空の青さは目立ってくるものの、山野の色あいは単調に感じられる時季です▼しかし、色にかわり音が人を楽しませます。秋の虫たちです。夏の名残を惜しむようなセミの鳴き声は切ないけれど、夜の虫の合唱は、音色の美しさとともに生命の力にみちています。歌の文句どおり、秋の夜長を鳴き通します▼先週のある夜。道ばたの生垣に、白い花が月の光をあびて浮かびました。二つ、三つ…。花びらの縁の裂け目から延びる無数の糸。夜にだけ咲くカラスウリの花です。気づけば、月は中秋の名月。澄んだ虫の鳴き声が響きわたる。すべてが清められ、足元から夏の疲れもぬけてゆくような時間に、しばしひたりました▼9月も半ばを過ぎました。やがて、木々の葉は秋色に、カラスウリの花も赤い実へと変身をとげてゆきます。季節の変わり目。読者のみなさん、とりわけ被災地の方々も台風に気をつけ、夏の疲れを乗り切られますように。





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