2011年9月17日(土)「しんぶん赤旗」
全電源の長時間喪失 想定なし
東電の過酷事故対応手順書
保安院の調査で判明
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の過酷事故(シビアアクシデント)対策手順書には全交流電源が長時間失われたり、複数の原子炉で同時に事故が発生した場合への対応が想定されていなかったことが、経済産業省原子力安全・保安院の調査でわかりました。同院が16日、公表しました。
福島第1原発では、3月11日の東日本大震災に伴って、全交流電源が長時間失われ、運転中だった1〜3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起こり、複数の原子炉から放射性物質を外部へ大量に放出するという世界でも例のない過酷事故が発生しました。
保安院によると、事故発生時の対応状況について実態を把握するため、8月に同原発の所長などから聞き取り調査を実施しました。その結果、「シビアアクシデント対策としては、複数プラント(原子炉)同時対応、長時間の全交流電源喪失は想定していなかった」ことがわかったといいます。
また、「消防車による原子炉への注水などアクシデントマネジメントの手順書にはない措置を応用動作として実施したり」、「ベント(格納容器内の蒸気を放出すること)についても、現場で弁を開く作業を臨機の対応として実施した」としています。
過酷事故対策手順書については、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会が東電に再三提出を求めています。しかし、東電は、表紙と目次の一部を大部分墨塗りにしたうえで提出し、閲覧後回収しました。
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