2011年9月16日(金)「しんぶん赤旗」

独 大学授業料 廃止

16州のうち14州へ

“不公正広げない”


 ドイツで大学授業料廃止の動きが強まり、13日までにドイツ全16州のうち14州で廃止ないしは、これから廃止の方針を持つことになりました。

 2月にノルトラインウェストファーレン州議会が今年の冬学期(9月から翌年3月)から廃止を決めたのをはじめ、4月にはバーデン・ビュルテンベルク州で新たに与党となった90年連合・緑の党と社会民主党が2012年から廃止することを政策合意に盛り込みました。

 13日にはハンブルク特別市で同市の与党、社会民主党が12年冬学期からの廃止を決定し、ドイツの全16州のうち、大学授業料が残るのはバイエルン州とニーダーザクセン州の二つになりました。

 背景には、この間続いてきた州議会選挙で、国政与党の保守系会派が多くの州で敗北し続ける一方、国政野党で革新的な政策を掲げる傾向のある緑の党、社民党、左翼党が伸長していることがあります。

 ドイツの大学は06年までは、全国で無料でした。ところが、05年に連邦憲法裁判所が、学費徴収を全国一律に禁じる法律を無効とし、授業料を徴収するかどうかは16の州・特別市の判断に任されました。

 このため、保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)や自由市場に重きを置く自由民主党(FDP)が与党となっている州では、相次いで一学期(半年)に375〜650ユーロ(4万〜7万円)の大学授業料徴収を開始。徴収する州の数は一時、8州になりました。

 北ドイツ放送(NDR)によると、13日、大学授業料廃止の方針を決めたハンブルク市社民党のシュターペルフェルト科学教育相は、「大学授業料は社会的な不公正を広げるものであり、大学に(貧富の格差による)障害を設けてはならない」と語りました。 (片岡正明)

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