2011年9月16日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
秋サンマの季節。あぶらがのって身の白さも鮮やかなサンマに、スダチの果汁をたらす。ささやかな幸せの瞬間です▼北海道に続いて被災地の東北で、先月からサンマの水揚げが始まっています。9月に2回開く東京の「目黒のさんま祭り」でふるまわれるサンマも、東北から届きます。岩手の宮古と宮城の気仙沼からです▼落語の「目黒のさんま」にちなむ「さんま祭り」。落語の方は、世間知らずの殿様を笑います。目黒あたりに遠出した殿様が、農家で焼いたサンマを食べた。初めてのサンマに味をしめた殿様は、親戚の家で「サンマがほしい」と望む▼が、日本橋の魚河岸からとりよせたサンマなのにおいしくない。親戚が、殿の体によくないからとあぶらや小骨を抜いてしまったのだ。そこで、海も陸も分からない殿様、「サンマは目黒にかぎる」▼いまの政治家が、殿様のような世間知らずでは困ります。しかし、現実の政治は庶民の仕事や生活からかけ離れています。サンマを水揚げする被災地の、漁業・水産会社の経営者も声をあげています。事業を再建したくても、政府が支援してくれない。“二重ローン”がいちばんの足かせなのに、対策が遅すぎる…▼きのうの国会。日本共産党の志位委員長が、野田首相に求めました。「再開の意思がある被災事業者はすべて支援の対象にする、そのために必要な資金は国が責任をもって手当てする」ように―。サンマならぬドジョウという首相ですが、もはやのらりくらりではすみません。