2011年9月15日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄に向き合っていく」―。玄葉外相がいいました。まるで、沖縄の人々にいじめられているような発言です▼踏まれても? 沖縄の普天間では、のどかな集落がいくつも壊され踏みつけられ、米軍基地にされました。軍国日本が沖縄を捨て石にしてアメリカとたたかった戦争に踏みつけにされた犠牲者の人骨が、いまも掘り出されます▼いま大地から空に目を転じると、騒音をまきちらす米軍ヘリコプター。時として落ちます。青年劇場の公演「普天間」は、7年前に米軍へリが沖縄国際大へ墜落した事件の、恐怖の証言から始まります▼さまざまな人物が登場します。人骨の調査にいそしむ沖国大の先生。米兵に近づく謎の名護の少女。なにやら秘密を抱え恋に悩む女性。沖縄戦の生き証人のおばあ。基地の周りで商う男性は、ベトナム戦争のころ基地で働いていました▼作者の坂手洋二さんは、登場人物に時事ニュースも語らせながら問います。沖縄の人たちが“基地はいらない”と叫び続けても、なぜまだ基地はなくならないのか。沖縄の基地と、地方に危険をおしつけてつくった原発を重ねたのも、答えを探す試みでしょう▼心に残るせりふがあります。「他人に痛めつけられても眠ることはできるが、他人を痛めつけては眠ることができない」。普天間基地をなくしたい宜野湾市は、しかし県内移設には反対です。その心をくんで日本中の人々が基地撤去へ力を合わせるよう願うせりふ、と聞きました。