2011年9月14日(水)「しんぶん赤旗」
55%が離農検討
津波被害の南相馬農家
抜本的復興計画ぜひ
福島県南相馬市で東日本大震災による津波被害をうけた地域の農地保有者の55%が、離農を考えている―。市の復興計画を策定するために同市が6月に行った「市民意向調査」の結果がこのほどまとまり、こんな実態がわかりました。
復旧への願い
5000世帯にアンケート用紙を郵送し、3017世帯から回答がありました。
これによると、「今後の農地の使用希望」の質問に「農地として使用しないため、手放したい」が44%、「農地でなく他の利用を考えたい」が11%と計55%の農家が離農を考えていました。
このほか、「安全を確認して再開したい」10%、「代わりの農地を別な地域に求めたい」7%、「農地の集約化などにより経営努力をして再開したい」4%、「放射性物質の除染や塩分の除去を行って復旧したい」16%―などとなっています。
また、649世帯の津波被害がなかった世帯でも、13%が「手放したい」、7%が「他の利用を考えている」と回答。原発事故の放射能被害で立ち入り制限されている20キロ圏内の小高区では、26%が「農地として使わない」と答えています。
アンケート結果について「大震災から半年です。このまま手を打たずに放置すると日本の農業は崩壊する危険がある」と話すのは、福島県農民連の亀田俊英会長(63)。南相馬市で2ヘクタールの稲作を行っていましたが、立ち入り禁止の警戒区域のため郡山市で避難生活を余儀なくされています。
農民連調査も
亀田会長は「農民連としても7月に50戸の農家にアンケートを取った。結果は4分の1が『やめたい』、4分の1は『条件次第ではやめたい』と半数は離農を考えていた。国はこうした事態に対して見通しを示し、早急に抜本的な復興計画を出すべきだ。放射能の除染や塩分の除去をして復旧をしてほしい」と復興事業の遅れに警鐘を鳴らします。