2011年9月13日(火)「しんぶん赤旗」

東電 提出資料、また黒塗り

衆院委 過酷事故時の手順書


 福島第1原発事故をめぐって、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)が提出を求めていた、東京電力の過酷事故(シビアアクシデント)時の「運転操作手順書」が12日に開かれた同委員会の理事会で開示されました。同委員会の要求に応じて経済産業省原子力安全・保安院が提出したもの。

 しかし提出された資料は表紙と目次の計3枚のみで、2日に示されたものよりさらにひどいものでした。表紙に「1号機 事故時運転操作手順書(シビアアクシデント)」と書かれ、目次に「消火系」「不活性ガス系」とあるものの、目次のほとんどが黒塗りされ50行のうち2行しか読めないため、内容についてはまったく不明で、保安院の説明も1〜2分程度。そのうえ、資料は東京電力の求めで閲覧後に回収されたといいます。

 理事会では「これでは事故原因を究明できない」「不誠実だ」といった声が相次ぎ、川内委員長名で同日、経産相あてに、原子炉等規制法と電気事業法に基づく書類提出を求めることを決定しました。資料の提出要求は8月26日以来4回目ですが、法律に基づく提出命令を求めたのは今回が初めて。これまでは保安院が東電に提出を要請する形でした。

 要請に対して東電は「通常の事故時」の手順書を、ほとんど黒塗りの状態で提出。9月2日、理事会は過酷事故発生時の手順書を提出するよう再要求しました。しかし東電側が知的財産権や核物質防護を口実にして開示を拒否したため、理事会は7日、改めて提出を求めていたものです。

「徹底検証を」事故調に要求

 衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)の理事は12日午前、政府の福島原発事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)を訪れ、同特別委員会として事故原因の徹底検証などを求める要望書を手渡しました。日本共産党の吉井英勝衆院議員らが同席しました。

 要望書は、東京電力の資料提出問題について経緯を説明。東電の回答を「不十分・不誠実の誹(そし)りを免れない」と批判し、立法府での審議と並行して、事故調における「徹底的な検証を要望する」としています。

 終了後の会見で川内氏は、畑村委員長から「事実の解明は非常に重要なことであり、重く受け止める」との発言があったと明らかにしました。吉井氏は「シビアアクシデントマニュアル(過酷事故時の手順書)がどれくらい整備されていたのか疑問。全国の原発の過酷事故対策をとらせるためにも、一つ一つきちんと考えていくことが大事だ」と述べました。





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