2011年9月11日(日)「しんぶん赤旗」
東日本大震災6カ月
9割「生業再建進まず」
未曽有の被害をもたらした東日本大震災発生から11日で6カ月を迎えました。死者・行方不明者は約2万人にのぼっています。いまなお避難生活をおくる被災者は、約8万2千人です。本紙は、その実態や要望を聞くために岩手、宮城、福島3県で被災者への「300人実態調査アンケート」を実施しました。3カ月時点で行ったアンケートと比べても、生活と生業(なりわい)の再建は進んでおらず、国の全面的な支援を求める切実な声が噴出しました。(東日本大震災取材団)
被災者300人アンケート
支援切望「国の施策不十分」
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アンケート回答者は岩手、宮城で計200人、福島で100人。仮設住宅、借り上げ住宅、避難所、被災した自宅などで暮らす被災者(14歳〜95歳)を直接訪ねて聞きました。
仮設住宅の設備や環境について「改善してほしい点が多い」(46%)と入居者の約半数が要望。「軒が短く雨が入ってくる」など劣悪さを訴えています。
震災後の家計・収入状況は、苦しくなったという回答が「少し」(27%)、「かなり」(39%)で計66%に上ります。3カ月時(計71%)からあまり改善がみられません。主な生活費として支援金や義援金を充てている人が半数近くで、先の見通しのない暮らしが浮かび上がります。
困っていることや不安な点として、約5割が仮設住宅を出たあとの「住居確保」や「将来への不安」を訴えています。
宮城県山元町の仮設住宅で夫と息子の3人で暮らす早坂征(ゆき)子(こ)さん(66)は切々と訴えました。「生活は苦しい。津波で1階が壊れた家は、広いので修理費が多額になる。仮設は2年限りなので、その先どうすればいいのか本当に心配」
自営業者の再建の遅れも極めて深刻です。生業の再建が「あまり進んでいない」(24%)、「めどが立たない」(64%)と計9割が回答。福島では、全員がそう答えました。
福島では、原発事故をめぐる補償や除染対策についてもたずね、地域で除染を「ほとんど実施していない」(88%)などの実態が改めて示されました。
「国が全面支援しないと地方は再生しない」(岩手県宮古市の自営業男性)という声が圧倒的で、生活と産業再建に「国の全面的な支援」を求める人が、3カ月時と同様の9割に達しました。
それだけに、国の救援・復興施策について7割以上が「不十分」だと感じています。「将来不安で、胸が張り裂けそうな思いを理解できないのですか」(福島県浪江町から福島市に避難した女性)と、政府に対し厳しい批判が相次ぎました。