2011年9月8日(木)「しんぶん赤旗」

主張

サ条約と安保の60年

従属やめてこそ未来も開ける


 1951年9月8日にサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約(旧日米安保条約)が結ばれてから今日で60年になります。

 日本はこの二つの条約によって形の上では「独立国」となりました。しかし首都東京をはじめ全国各地に米軍基地がある事実一つをとってみても、日本がアメリカの事実上の「従属国」であるのは明らかです。「日米同盟」の名のもとに「従属国」の地位に甘んじ、軍事同盟強化の道を進んでいては、国際社会で「名誉ある地位」(憲法前文)を占めることもできません。

「アメリカ絶対」の誕生

 日本がアジア・太平洋戦争で負けたときに受諾したポツダム宣言には「連合国の占領軍は直に日本国より撤収せらるべし」と明記されていました。しかし日本を事実上単独占領したアメリカは、沖縄を本土から切り離して占領を継続する一方、本土を自ら支配する軍事戦略に半永久的に組み込むことを企てました。それを具体化したのがサ条約と旧安保条約です。二つともアメリカが書き上げました。60年に新安保条約が結ばれ、72年に沖縄の本土復帰が実現してもその構図は変わりません。

 見過ごせないのは、占領時代に「アメリカ絶対」の対米従属関係がつくられ、いまもそれが日本政治の「基軸」になっていることです。当時の政府がアメリカに完全に従属することで政治的・経済的な支配権を回復し、強化する道を進んだからです。

 対米従属の政治は戦後長きにわたって国民を苦しめてきました。それを今後も踏襲するなどとうてい許されることではありません。

 対米従属政治の弊害は重大です。東京をはじめ全国に米軍専用基地だけでも84もあり、住民を苦しめています。自衛隊との「共同使用」を含めれば133にのぼります。とくに沖縄の事態は深刻です。全国の米軍基地総面積の74%が集中し、普天間基地と嘉手納基地の米軍機による爆音被害や墜落の危険、米兵が頻繁に起こす犯罪などで県民の痛みは甚大です。

 戦後一貫して基地の重圧に苦しんできた県民が基地をなくせと願うのは当然です。しかし自民党政権も民主党政権も、県民の願いに耳を貸すどころか、普天間基地を名護市辺野古に「移設」し新基地をつくる計画を県民に押し付けようとしています。140万人もの県民を苦しめる対米従属政治に怒りが噴出しているのは当然です。

 外交や経済のゆがみも問題です。イラク戦争では多くの国が反対しているのに日本政府は世界に先がけてアメリカの戦争を支持し、自衛隊を派兵して侵略の片棒を担ぎました。対米従属政治では日本の平和も国民の暮らしも守れないことはいよいよ明白です。

安保廃棄めざして

 野田佳彦首相も首相就任早々オバマ米大統領に「日米同盟が基軸」と約束しました。普天間基地の「移設」などを受け入れる態度です。しかし従属をむきだしにした軍事同盟などいまでは世界にありません。対米従属の関係はやめさせなければなりません。

 平和で豊かな日本の未来を開くには「従属国」の地位返上が不可欠です。そのためにはまず何よりも日本をアメリカの「従属国」にしている日米安保条約=日米軍事同盟を廃棄し、対等・平等の日米関係をうちたてることが重要です。





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