2011年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

土石流 車が家の中に

台風12号被害 水道・電気使えず

和歌山・那智勝浦


 大型台風12号による大雨は、和歌山県那智勝浦町色川地区では1100ミリを超えました。6日は晴れ、川の水位は下がり、家の人たちは片付けや泥出しに追われていました。 (西山綱男)


写真

(写真)えぐられた那智川沿いの道路を補修する土木組合作業員=6日、和歌山県那智勝浦町

 那智川に架かるJR線の鉄橋は崩れ、電車復旧に「半年以上かかる」(紀伊勝浦駅員)といいます。

 山が崩れ、流木が橋にひっかかり、土石流は道路や民家、車を押し流していきました。

 4日深夜2時ごろ、ゴロゴロという音とともに大きな岩がころがり、川は大氾濫しました。家には車が突っ込み、ひっくり返っています。那智川の下流は通行が規制され、住民でないと車は入れません。道路の脇には家の雑貨や、辞書、流木が散乱しています。

 泥をかぶったピアノを「よいしょ」と外に運び出し、子どもたちも一緒になって泥をかき出していました。那智川沿いの民家はライフラインが途絶えています。

 徒歩で1時間半。奥地にある同町市野々(いちのの)小学校の尾中伸彰校長(54)は「とにかく先生方がよく頑張ってくれています。職員さんの子どもたちも手伝ってくれています。安否は、ほぼ全員確認できました」と話します。

 電気、水道は使えず、固定電話はつながりません。風呂用に山からの水をくんでいた女性(63)は「電話も水道も使えない生活がこれほど不便とは」と嘆きました。

 那智勝浦町では、コンビニやスーパーに食べ物や商品が並べられてもすぐになくなる状況です。清掃に追われるスーパーは営業ができません。避難所には物資が届いても民家には届かず、住民は困っています。

 同町議会は災害のため6日は休会。市野々に住む日本共産党の田中幸子町議は「町へ買い物に行っても物がない状況です。住民は山の水や生活に必要なものをわけあっています。何よりも困っているのは、水道や電気などです。孤立して情報も入りにくくなっています。すぐに復旧してほしい」と話しました。





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