2011年9月2日(金)「しんぶん赤旗」
震災・原発事故の影響は
町工場3割 仕事減
直接支援事業 継続に期待
不況打開実行委と党区議団が調査 東京都大田区の不況打開実行委員会と日本共産党区議団(藤原幸雄団長)は、区内の中小工場から聞き取りをおこない、東日本大震災と原発事故の影響を調査、1日までに結果をまとめました。3割の工場で仕事量減の影響がでていることが分かりました。
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東京・大田 不況打開実行委と党区議団が調査
7月下旬に区内の約50の中小工場に、実行委員会役員と区議が直接訪ね、聞き取りをしました。内容は(1)東日本大震災、原発事故による影響(2)一番困っていること(3)行政への要望―の3点です。
大震災、原発事故の影響では仕事量の減少が特徴です。親会社の生産一時停止や開発見合わせなどが原因です。
仕事量への影響について答えた42社のうち、「減った」が8社(19%)「一時的に減った」が5社(12%)で合計13社(31%)。「増えた」「一時的に増えた」は5社(12%)でした。
行政に望むことでは、業者と党区議団の運動で実現した「ものづくり経営革新緊急支援事業」の継続と拡充を求める要望が5社からあり、同事業への期待の高さを示しています。
大震災・原発事故の影響ではほかに、「東北にある分工場が被害を受け操業がとまった(2社)」「材料が一時入手困難となり、価格も高騰した」「工場内は高温になるため冷房が必要で節電には対応できない」などの回答がありました。
「一番困っていること」では、次のような声があがりました。「後継者育成の困難」「工場減少によるネットワークの崩れ」「親企業の海外進出、仕事の海外流出」「大企業から押し付けられる低単価」
「行政への要望」では、「ものづくり経営革新緊急支援事業の継続・拡充」のほか、「大田区工業フェア、商談会の拡充(5社から)」「後継者育成、人材育成への補助」「工場家賃の助成」「消費税率を上げないこと」などがあげられました。
区内の民主商工会、労働組合、共産党地区委員会でつくっている不況打開大田区実行委員会の馬場良彰幹事は調査結果について次のように語っています。
「さまざまな将来不安の声が返ってきました。一方、行政への要望が多数寄せられたのは工場存続への強い意欲のあらわれだと考えます。これは私たちの政策提言、工場訪問・対話の活動や区産業経済部などの努力の結果だと思います。引き続き運動を強めたい」
大田区の町工場 大田区内の製造業工場数約4000。そのうち8割が機械金属製造業です。従業者1〜3人が5割、9人以下では8割と小・零細企業が多数を占めます。大企業を含む全国の企業から難しい機械金属加工品や開発試作品など高い技術・技能を必要とする注文を受け製造します。大田区の工場集積は、日本のものづくりの技術的基盤と言われています。
ものづくり経営革新緊急支援事業 大田区内に本社や事業所をもつ中小の製造業者100社を対象に上限50万円で助成を行う緊急・支援制度。世界同時不況の影響で2008年秋以降、区内の町工場の仕事が激減。「町工場に直接支援を」の声が高まるなかで、直接支援事業実施を求める業者と労組の運動、日本共産党区議団の奮闘で実現しました。2010年、11年に実施されました。
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