2011年8月31日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
395。一昨日あった民主党の代表選での投票総数です。いまさらながらに、民主党の国会議員の多さを思い知りました▼ともに会派を組む人たちを加えると、衆参あわせて722人中409人。参院で過半数に達しないものの、大勢力です。しかし、それで政治をどれほど変えたでしょう▼公約の見直し。「大連立」への歩み寄り。むしろいま、もともと根っこが同じ自公政治との境界が、見た目にもあいまいになりつつあります。野田政権は、民主党が政権交代の熱からさめ、人々の「新しい政治を」の期待に応えられない果てに生まれました▼菅前首相は、菅内閣を「奇兵隊内閣」と名づけました。山口県生まれの菅氏。同郷の大先輩、農民や町人を交える奇兵隊をつくって明治維新の前夜に活躍した高杉晋作に、自分をなぞらえました。奇兵隊のように民の力を発揮できたかどうかは、ごらんの通り▼野田氏は、外見などから“民主党の西郷隆盛”といわれます。8年前、大勢の政治家が出た劇「敬天愛人!隆盛の如く」では隆盛役を演じました。しかし、西郷どんになぞらえられるのは痛しかゆしかもしれません。隆盛は、国にそむいたとして靖国神社にもまつられなかった人ですから▼野田氏は、靖国にまつられているA級戦犯を「戦争犯罪人ではない」とかばいます。加えて、名うての増税論者。原発活用を唱える。政権交代からの2年が無駄でなかったとすれば、政治の劣化をもはや放っておけないとはっきりした、晩夏の政変です。