2011年8月30日(火)「しんぶん赤旗」
福島 1次避難所あす閉鎖
入所者に不安・困惑の声
「これからどうしたら…」
多くの人が県内外で避難生活を余儀なくされている東京電力福島第1原発事故。福島県は、県内にある公共施設の1次避難所の大半を、31日で閉鎖すると表明しています。同県で最大の避難所だった「ビッグパレットふくしま」(郡山市)も、8月末で閉鎖に。「今後、どうなるのか」と、先が見えない不安や困惑の声が広がっています。 (大串昌義)
「ビッグパレットふくしま」には、富岡、川内両町村が役場ごと移転しています。一時は約2500人がいた同施設には、28日時点で95人が避難。不織布や段ボールで仕切られた居住空間はまばらで、日用品を次の住居へ運ぶため、忙しく館内外を行き来する人の姿がありました。
仕事奪われ
富岡町の応急仮設住宅戸数は、大玉村に630、郡山市615、三春町320、いわき市62(建設中220)です。医療や経済、土地勘、気候などの面で、富岡町と同じ浜通りにある、いわき市を希望する人が多く、完成予定を上回る応募があると市の担当者はいいます。
「何で中通りの郡山に来なきゃなんねえのか。住み慣れた浜通りにしか行かねえ」
こう話すのは第1原発の施設が見える富岡町夜の森の自宅で被災した男性(62)です。いわき市の仮設住宅に申し込みましたが、なかなか決まらず、4次募集でやっと入居できることになりました。
仮設住宅が建設中のため、避難所の閉鎖後は、2次避難所の旅館に約20日間滞在してからの入居予定です。
「仕事も奪われ、これからどうしてくれるのか。国や東電は生活補償をしてくれるのか」と憤りを隠しませんでした。
体重4キロ減
同町夜の森に住んでいた女性(83)は、5カ月半の避難所生活で、体重が4キロも減りました。避難所から次女が住む福島市の借り上げ住宅に移りますが、看病の必要な長女が入院する、いわき市の病院は遠くなります。「何にも悪いことはしてないのに。これからどうなるのか。苦労した人生、あとは楽して暮らしたかった」
避難所で知り合った人たちに、いわき市の高台の借り上げ住宅に移ることを伝えながら退所準備をしていた男性(65)は、同町でコメを作ってきました。「放射能のせいで、お盆に酒を交わして飲む何十年来の友達が欠けてしまった」と、地域が壊されたことにいら立ちを募らせます。
「原発が爆発したから『はい、出ます』というわけにはいかない。コンバインも乾燥機も置いてきた。機械だけで数千万円します。東電には、補償してもらいたい」