2011年8月30日(火)「しんぶん赤旗」
違約金請求は不当
中国人元実習生 偽りの証明書 修正要求
熊本
ローカルユニオン熊本は29日、係争中の阿蘇中国人農業実習生訴訟の原告の一人が、中国で法外な違約金(日本円で約180万円)を事実に反して請求されたとして、偽りの証明書を発行した日本の第1次実習受け入れ機関(熊本市)に、証明書の修正を申し入れました。
原告の元実習生3人は、詳細を知らされないまま訪日契約書を中国側送り出し機関と交わし、2006年に来日。法外な違約金で奴隷的な労働を強いる契約でした。過酷な労働に耐えられず、実習先の変更を検討していた2008年2月、同ユニオンに加入します。
第1次受け入れ機関の熊本県国際農業交流協会は2月末、行方不明とする証明書を発行しましたが、3人はその1週間前に同協会へ団体交渉を申し入れており、事実に反します。
中国の送り出し機関は証明書を口実に違約金の支払いを求め原告の一人を中国の裁判所に提訴。6月、送り出し機関の訴えを認める判決が出されました。
来日した別の原告、佟慧玲さん(25)は29日に、福岡高裁内で開いた記者会見で「私たちも違約金で訴えられるかと思うと不安でいっぱいです」と語りました。
同訴訟弁護団事務局長の村上雅人弁護士は「昨年の実習生制度改定で、事前に違約金契約を結ばせるなどの無法な実習生受け入れは禁止されている。今回の違約金請求は日本の公序良俗に反し、到底認められない」とのべました。
阿蘇中国人農業実習生訴訟 最賃を下回る賃金・過重労働を強いられた中国人実習生3人が、第1次受け入れ機関と実習先の農家らに対し、未払い残業代と慰謝料を求めて2008年に提訴。昨年の熊本地裁判決は残業代の一部を除き、請求を棄却した不当なものでした。原告側は福岡高裁に控訴。6月に結審し、9月5日に判決が出されます。