2011年8月29日(月)「しんぶん赤旗」
主張
「無料塾」
「学び」と「成長」の場広げよう
不景気のなか、塾や予備校などにかかる家計の負担は大変です。それでも、子どもにしっかりとした学力、生きる力をつけさせたいという親の願いは尽きません。
その費用をどうするか、「親に負担はかけられない」と悩む子どもたちがいます。そうした子らに学びの場を保障する「無料塾」という新しい試みが広がっています。
「分かる」楽しさ実感
「無料塾」は、親の世代の経済的な格差を子どもたちの「学力格差」にさせてはいけない、塾や家庭教師を利用できない子どもたちにも、学ぶ力をしっかり身につけさせたいという思いで、地域に広がる学習支援の取り組みです。
小学生や中・高校生を対象に、教えるのは退職教員や現役の大学生ら、費用は無料かきわめて低額です。教材や会場の準備、おやつ、食事の提供など、思いを同じくする親や地域の住民のボランティアに支えられています。
子どもたちの権利を守るために活動している「『なくそう! 子どもの貧困』全国ネットワーク」が7月に開いた「学びサポートなんでも交流会」では、経済的に苦しい子どもや若者たちの学びの場をつくっている各地の多彩な取り組みが、豊かに交流されました。
家族会議で話し合って塾にいけない中学生の学習支援活動を家族ぐるみで始めた人、生活保護受給家庭やひとり親家庭の子どもたちに学習支援や生活・就労支援をするNPO法人、行政とも連携しながら子どもたちへの支援をすすめている事例など、その形態や担い手はさまざまです。しかし、「貧困の連鎖」を断ち切り、子どもたちの無限に伸びる可能性を、みんなの力で生かしてあげたいという目的はいっしょです。
日本民主青年同盟も、いま各地で「無料塾」を広げて注目を集めています。「子どもの貧困」や競争教育で苦しんでいる高校生、高校受験を控える中学生たちの願いにこたえようと、高校生の同盟員やそれを援助する現役大学生の同盟員らが自主的に集まり、学びあい、交流しあっています。
同世代なだけに、「なぜ勉強しなければならないのか」「学校では自分を出せない」など率直な悩みも出され、いっしょに問題に向き合い、社会のあり方も考えあうなかで、「点数のためだけではない本当の学びに出合えた」と喜びの声があがる成長の場になっています。
民青同盟の「無料塾」は、地域のなかでも歓迎されており、新聞折り込みのチラシをみた人が「ほんとうに無料なんですか」、「うちの孫もお願いしたい」と問い合わせ、申し込みをしてくる例も少なくありません。
「仲間」づくりの喜び
民青同盟の「無料塾」は、退職教員、新日本婦人の会や生活と健康を守る会などの民主団体、日本共産党の地区委員会や地方議員らのさまざまな援助にも支えられています。子どもの6人に1人が「貧困」という日本の深刻な経済状況のなか、「無料塾」はますます大きな意義をもっています。
民青同盟が今春おこなった首都圏の大学での新入生歓迎活動では、予備校に行くお金がなく自分で勉強したという受験生が「無料塾」の活動を知り、「民青同盟ってすごい」と感想をもらしました。青年が強く求める「仲間づくり」の活動を、大きく広げるときです。
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