2011年8月29日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 今年は米国が金とドルの交換を停止したニクソン・ショック(8月15日)から40年。関係者の回想を読むと何があっても米国に依存する日本の態度に驚かされます▼「ドルとの一(いち)蓮(れん)托(たく)生(しょう)という考え方が強く、ドルさえもっていれば必要なものはなんでも買える」。日銀ロンドン駐在参事だった速水優氏(後の日銀総裁)は自著『海図なき航海』で日本側の受けとめをこう表現しました▼欧州諸国は自国通貨防衛のため、外国為替市場をすぐ閉鎖しますが、日本は市場を開け続けました。その結果、世界から東京市場にドル売りが殺到し、日本は大量のドルを買うはめに陥ります▼「柏木さんには『東京市場を閉めないことで米国を助けている』という意識があったようだ」(日本経済新聞「私の履歴書」)と大蔵省財務官室長だった行天豊雄氏(後の財務官)は振り返ります。柏木氏は東京市場を閉鎖せずとの主張を通した柏木雄介・大蔵省顧問です▼「基軸通貨」ドルが金の裏付けを失ったことで世界の通貨は安定を失い、投機にさらされる時代に突入します。日本は今日に至るまで米国債を買い続け、赤字の米国に資金を供給し続けます。米国との金利差を維持するための低金利政策で日本国民は数十兆円の利子所得を失いました▼世界は変わりつつあります。2009年の国連専門家報告はドルに代わる新しい国際通貨を考えるべきだと提言しました。新興国からも同様の主張が相次いでいます。米国中心の国際通貨体制は過去のものとなっています。





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