2011年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

過剰利益に新規課税

ペルー 鉱山業界と政府合意


 【メキシコ市=菅原啓】南米ペルーのレルネル首相は25日、銅や銀など輸出で大きな利益を上げている鉱山会社にたいして、通常の法人税に加えて、5年間で約55億ドル(約4250億円)の新税を課すことで業界側と合意に達したと発表しました。


貧困削減へ弾み

 7月28日に発足したウマラ新政権は、貧富の格差を広げてきた新自由主義政策を批判し、貧困削減や国民生活向上のための施策を掲げてきました。新税は、こうした施策を支える財源確保をめざすもので、公約実現に大きな弾みがつくと期待されています。

 ペルーで操業する鉱山会社は、国際価格の上昇の恩恵を受け、増収が続いています。各社は税率35%の法人税を課せられていますが、ウマラ政権はこれに加えて、過剰利益にふさわしい税金を支払うべきだと主張し、業界団体と交渉してきました。

 業界側は、増税されたら「国際競争力を失う」などとして難色を示していましたが、高い支持率を背景にした政府側の粘り強い交渉に新税を受け入れざるをえませんでした。

 新税の総額55億ドルは、今年第1四半期の国際価格と各企業の利益、今後5年間の業績見通しにもとづいて算出したものだと説明されています。

 金鉱などを所有するブエナベントゥラ社のベナビデス会長は、業界全体として「競争力に配慮しながら可能性に応じて納税していく用意がある」と表明。レルネル首相は、この新税は「企業の投資や競争力に影響を与えるものではない」と強調しました。

 今回の発表は、政権発足1カ月時点で新内閣が国会にたいして行う新政府方針報告の中で行われました。レルネル首相は、経済成長の目標を年平均6%と設定し、貧困削減と弱者救済を「政権の中心目標」としていく決意を明らかにしました。国会は、報告に盛り込まれた新政府の方針を議論し、内閣信任案を多数で可決しました。


 ペルー 1821年にスペインから独立。1968〜80年の軍政後、民政移管。今年6月の大統領選挙で左派のウマラ候補が当選。人口約2950万人。先住民45%、先住民と白人との混血37%、白人15%。面積は約129万平方キロ(日本の約3・4倍)。1人当たりの国民総所得は4150ドル(2009年)。貧困層が国民の4割近くを占めるといわれています。

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