2011年8月27日(土)「しんぶん赤旗」
主張
菅政権退陣へ
「二大政党」の破綻きわまった
菅直人首相が辞任の条件とした、赤字国債発行の特例法と再生エネルギー買い取り法が成立し、菅氏が正式に退陣を表明しました。民主党代表選を経て週明けに新しい首相が選ばれる予定です。
昨年6月の就任以来1年3カ月近くで辞任することになった菅首相の退陣で、民主党政権では2年間で3人目、自民党政権以来でも5年間で6人目の首相が誕生することになります。内政でも外交でも政治の停滞はきわまっており、自民・民主の「二大政党」の破綻と行き詰まりは明らかです。
5年間で6人目の首相に
小泉純一郎政権以降、自民党政権末期の安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の3氏の政権と、民主党政権になってからの鳩山由紀夫、菅の2氏の政権はいずれも1年前後しか続きませんでした。短命だっただけでなく、どの政権も国民の支持を急速に失い、退陣を余儀なくされたのが特徴です。
とりわけ2年前の総選挙で自民党政権から交代した民主党政権は、自民党の政治を転換するどころか、鳩山政権は選挙中の公約を踏みにじって沖縄の米軍普天間基地の「県内移設」を決め、菅政権は自民党に“右へならえ”して消費税の10%への増税を打ち出すなど、国民の期待を裏切り、支持を急速に失いました。菅政権末期の内閣支持率は10%台です。自民党ではだめだったが民主党でもやっぱりだめだったと、国民を失望させた責任はきわめて重大です。
菅政権の国民に対する裏切りは、3月の東日本大震災以降、いよいよ顕著になりました。菅政権は被災者の救援でも、原発事故の収束でもやるべきことをやらず、財界のいいなりに農業や水産業に大企業を参入させる「特区」構想や、原発事故の賠償に名を借りた東電救済などを進めています。原発の危険性が誰の目にも明らかになったにもかかわらず、原発からの撤退には背を向けています。
自民党だけでなく民主党でも国民の願いに反した政治を抜け出せないのは、これらの党に「アメリカいいなり」「財界本位」といった日本の政治の「二つの異常」を根本から正す立場がないからです。「アメリカいいなり」を正さなければ、沖縄の米軍基地は県内でたらいまわしするという結論しか出てこず、「財界本位」を正さなければ、財政赤字は大企業や大資産家にも応分に負担をしてもらうのでなく、国民に負担を押し付けるという結論しかでてきません。
相次ぐ短命政権が示すように、「二つの異常」を正すどころか党派的な駆け引きを繰り返すだけの民主党や自民党は、日本の政治をかじ取りする能力を失っています。国民がいまや、民主党の政権が続くことも自民党に政権が戻ることも望んでいないのは明らかです。
「大連立」の悪政は論外
財界や一部のマスメディアなどは、「二大政党」の行き詰まりを切り抜けようと、自民・民主の「大連立」に活路を求めようとしていますが、それこそ論外です。消費税の増税や米軍基地の「県内移設」などの悪政を力ずくで国民に押し付けることにしかなりません。
国民は政治を根本から正す新しい政治を切実に求めています。自民党の政権にも民主党の政権にも加わらず、「二つの異常」を根本から正そうと呼びかけてきた日本共産党の役割がいよいよ重要です。