2011年8月26日(金)「しんぶん赤旗」
泊原発3号機 道主催08年シンポ
北電が“やらせ”指示
「推進意見」社員を組織
プルサーマル導入で
北海道電力泊原発(古宇郡泊村)3号機へのプルサーマル導入について住民意見を聞く2008年10月の道主催のシンポジウムに、北電が社員に参加と推進意見をのべるよう社内通達を送っていたことが25日、本紙が入手した内部資料と関係者への取材でわかりました。08年8月の国主催のプルサーマルシンポについて北電は経産省に対して「やらせ」の存在を否定していますが、同時期の自治体主催シンポで「やらせ」をおこなっていたことになります。
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問題のシンポは同年10月12日に岩内町で道と地元4町村主催で開かれました。本紙が入手したのは、同月3日に北電泊事務所渉外課が送信した「『プルサーマル計画に関する公開シンポジウム』への参加協力について」と題したメール文です。
文書には、「プルサーマル計画を確実に進めるためにも、数多くの方にご参加いただき推進意見を提出していただければ」と書いてあります。送信記録によると、このメールは泊原発内の21の部署に送られていました。
複数の北電関係者は、この文書について「北電の社内文書の体裁でつくられたもの」と証言。送信元の渉外課について「泊原発の周辺自治体との折衝や調整をする課だ。地元対策担当のセクション」と説明します。
泊原発へのプルサーマル導入をめぐっては、北電が08年4月に、道や地元4町村に事前協議を申し入れました。以降、経産省や道、北電がそれぞれ主催する説明会が、地元自治体を中心に行われました。
問題のシンポは、一連の住民向け説明会の最後に行われたもの。主催者の案内などによると、シンポでの意見は、道などがつくる有識者検討会議に反映するとしていました。
シンポ会場で道が集計したアンケートでは、「疑問を十分取り上げられたか」という質問に「そう感じる」「だいたい、そう感じる」という回答があわせて51%にのぼっています。
このシンポに参加した日本共産党の大田勤岩内町議によると、北電社員を名乗る参加者や発言者はいなかったといいます。当時の報道によると、同シンポ後の同年10月17日に道は「広く道民から意見を聞く狙いは一定程度、達成できた」として、説明会の打ち切りを宣言。翌09年3月に高橋はるみ知事が受け入れを表明しています。
本紙の取材に北電は「調査、確認中」と回答しています。
公益企業の資格に疑問
日本共産党の真下紀子道議の話 シンポジウムでの参加者の発言は、有識者検討会議に反映するものですから、シンポには公正さが求められました。それだけに意図的な動員や推進意見の組織は許されないものです。
アンケートについても当事者の北電社員が組織的に参加し、一住民として回答した結果ならば、信ぴょう性に関わる問題です。
北電は12年前に「やらせ」を行った“実績”があります。これに懲りずに世論誘導を今も行っている北電に、公益企業としての資格があるのか、強い疑問を感じます。
泊原発3号機 09年12月に営業運転を開始。今年に入り、定期検査を受け、東日本大震災の直前に最終段階で行う調整運転を始め、そのまま6カ月近くも100%の出力で事実上の営業運転を続ける異例の事態になっていました。原子力安全・保安院は8月、定期検査などを行っている原発が対象となっている「ストレステスト(耐性試験)」の1次評価から同機を除外し、営業運転を認めました。北海道の高橋知事も17日に、再開を認めましたが、地元自治体や道民の合意を得ない強引な再開として、批判が高まっています。
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