2011年8月25日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「もっと使わせろ」「捨てさせろ」「ムダ遣いさせろ」「季節を忘れさせろ」。広告会社の大手、電通が1970年代に唱えた「広告戦略十訓」から引きました▼消費者の財布を緩めさせる、あとは野となれ山となれの猛烈な売り込み。広告会社のわくを超え、商品をつくる大会社、売る大会社のたいていがもつ考えでしょう。資本主義の魂を表現する標語です▼18日付本紙の「シリーズ 原発と各党」で、自民党のベテラン議員が語っていました。「自民党にとって原子力発電とは、経済発展の中核だった」。妙に合点がいきました▼昼となく夜となく、サービス残業させるほど労働者を長い時間働かせ、モノをつくり、運び、売り、輸出する大企業。業務ビルは深夜までこうこうと明かりがつき、“24時間社会”の街も不夜城のよう。電力は原発で。しかし原発は、放射能をばらまくと手に負えず、廃棄物も安全に後始末できない、文字通り「あとは野となれ山となれ」でした▼自民党には、もう一つ「経済発展の中核」があったはずです。財政です。大企業の活動を支えるため、借金しいしい道路や橋を建設し、原発づくりも推進しました。電通の十訓よろしく、経済発展のため「ムダ遣いさせろ」と、いらない道路や港までつくり鉄やコンクリートを消費しました▼いま国と地方で、借金が880兆円近くにふくらんでいます。やはり、「あとは野となれ山となれ」。後始末は、まずは「経済発展」でもっとも利益を得た者の負担で願いたい。