2011年8月24日(水)「しんぶん赤旗」
沖縄・八重山 「つくる会」系採択か
次期教科書「侵略美化」市民憤る
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日本の侵略戦争を美化し、沖縄戦での「集団自決」で日本軍の強制を否定する育鵬社・自由社版など「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書が、沖縄で採択される恐れが出てきました。
沖縄県石垣、竹富、与那3市町の中学校で2012年から4年間使用する教科書を選定し、各教育委員会に答申する教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)が23日、石垣市教育委員会で開かれました。
玉津会長は「教育委員会で採択後に議事録を公開する」の一点張りで、協議会での選定経過や内容を一切公表しませんでしたが、名前をふせた委員8人が非公開で無記名投票・多数決の結果、「つくる会」系教科書が選定されたもようです。
教科書を調査研究する調査員(教科別に各3人、教員)が提出した報告書には、「つくる会」系教科書は推薦されなかったといわれていますが、協議会は「つくる会」系を選定対象に含めました。
結果は3市町の各教育委員会に答申され、石垣市と与那国町は26日、竹富町は29日に開く各教委で採択します。竹富町の慶田盛安三教育長は、「歴史認識などに問題がある」として「つくる会」系教科書を使わない意向を示してきただけに協議会後、苦渋の表情で「竹富町教育委員会で合議して進めたい。協議会の選定結果と一致しない場合もありうる」と語りました。
各教育委員会の決定が協議会答申と異なった場合、県教委の指導のもと、協議会役員会で再協議となる見込みです。協議会後の会見で、“県教委が協議会答申と異なる指導をした場合、指導に従うか”と問われた玉津会長は顔色を変え、「指導内容をみないと答えられない」と繰り返しました。
市教委前で県民ら抗議
この日、採択協議会が開かれた石垣市教育委員会前には、「戦争美化の教科書は子どもたちに渡せない」の横断幕や手製プラカードなどを掲げた市民ら百数十人が集まり抗議の声をあげました。仲山忠亨・元石垣市教育長(78)は「協議会委員も人の親。教師をしてきた良心に期待したい」と語り、開会に先立ち、改めて委員名の公表と傍聴を申し入れました。
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