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2011年8月23日(火)「しんぶん赤旗」
リビア カダフィ政権命運つきる
前途は紆余曲折も
【カイロ=伴安弘】1969年以来、42年間にわたりリビアで権力を掌握してきたカダフィ政権の命運が尽きつつあります。
リビアでは77年に直接民主制国家(ジャマヒリア)への移行が宣言され、その2年後にはいっさいの公式の肩書をなくしながらもカダフィ氏が最高指導者にとどまり、事実上の独裁体制が続いてきました。
カダフィ政権の崩壊は、大局的には独裁体制が一掃され、国民主権の体制の確立に向かう上で有利な条件が生まれることを意味します。
しかし、この間の経過を見ても前途には紆余(うよ)曲折が予想されます。
リビアで反政府行動が表面化したのは2月半ば。隣国エジプトのムバラク政権が民衆の行動で打倒された直後のことでした。3月1日には、反政府勢力を糾合する形で「国民評議会」が結成され、政権を離脱する要人も相次ぎました。
その後、武力弾圧の姿勢を強める政権側と反政府勢力の対立は内戦状態となり、戦況は一進一退が続く事態になりました。こうした中、米英仏などが3月19日、市民の安全確保と飛行禁止区域設定のために「あらゆる必要な措置をとる」とした国連安保理決議に基づきリビア空爆を開始。結果的にはこれが決め手となりました。
安保理決議採択では15カ国中5カ国が棄権するなど国際社会の一致した意思を確認したものとはなりませんでした。また、リビア空爆では一般市民の間に犠牲者が出て国際的な批判の声も上がりました。
今後、統治を担うとみられる「国民評議会」は、旧政権の一部幹部やイスラム主義者などがカダフィ政権打倒の一点で結集した組織。その設立宣言では「制憲議会選挙の実施」「人権、市民的自由の尊重」といった公約がならびますが、内部対立説もあり、国民生活と統治に安定をもたらせるかどうかが、今後の焦点となります。