2011年8月21日(日)「しんぶん赤旗」
ミャンマー民主化加速
ASEAN議長国就任めざす
【ハノイ=面川誠】ミャンマー政府が国内の政治対立解消に向けて動き始めました。テイン・セイン大統領と民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏が19日に初会談。2014年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国に就任を目指すミャンマーにとって、国際的孤立を脱却するため、民主化の進展が急務です。
国際孤立の脱却が課題
国営テレビは19日、「大統領とスー・チー氏は意見の違いを脇に置いて、国と国民の利益となる共通の関心事について、誠意を持って友好的に話し合った」と発表しました。
ミャンマー政府が民主化への動きを加速させたのは、ASEAN地域フォーラム(ARF)直後の7月25日、アウン・チー労相がスー・チー氏と会談。今月12日、民主化に向けた協力をうたった共同声明を発表しました。
さらに政府は17日、国外脱出中の民主化運動家に帰国を呼び掛け、18日に主要な少数民族武装組織に和平交渉を提案しました。
ミャンマーは今年3月のセイン大統領就任で、1962年から続いた軍政から形式上の民政に移管。14年のASEAN議長国に立候補を表明しました。
議長国は米国などが参加する東アジア首脳会議(EAS)を主催します。民主化の前進がなければ、米豪など複数の首脳が出席を拒否するとみられます。
ASEAN各国は議長国就任を承認する方向で一致していますが、スー・チー氏を含む国民和解と約2000人とされる政治囚の釈放を求めています。
ミャンマー政府は対外関係の改善に向けた動きも見せています。国際通貨基金(IMF)代表団を招待したほか、17日は国営各紙から外国メディア非難のスローガンが消えました。ロイター通信によると、制裁解除の条件をめぐる話し合いを複数の西欧諸国と進めているといいます。
ASEANは11月の首脳会議でミャンマーの議長国就任の是非を判断する予定です。
ミャンマー連邦共和国 面積67万6578平方キロ、人口5049万6000人(2010年推定)。資源は石油、天然ガス、ルビー、ヒスイなど。ビルマ民族が68%と、シャン、カレンなど約50の少数民族が住み、公用語はビルマ語。宗教は仏教が89%、キリスト教とイスラム教が各4%。1人あたりの国内総生産は571ドル(09年推計)。
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