2011年8月20日(土)「しんぶん赤旗」

主張

民主党代表選

増税目的の大連立なら御免だ


 菅直人首相の辞任を受けておこなわれる民主党代表選をめぐり、自民党との「大連立」が議論を呼んでいます。最初に代表選出馬を表明した野田佳彦財務相が「救国内閣を作る」などと繰り返していることがきっかけです。それをめぐり民主党内だけでなく、自民党などからも発言が続いています。

 東日本大震災の復興や東京電力の原発事故収束に党派を超えて力を合わせるのは当然ですが、民主党だけでは国会で法案が通らないからと連立をいいだすのは、情けない限りです。まして国民に「復興増税」や消費税増税を押し付けるための「大連立」なら論外です。

大義の旗印見えてこない

 野田氏が月刊誌やテレビのインタビューなどで明らかにしている「大連立」は、何をやるための「大連立」なのかを明らかにせず、「ねじれ国会」の国会運営が大変で予算も法案も通らないと自民党などに呼びかけているのが特徴です。

 野田氏は、「与野党、特に自民党、公明党との合意・協力なしに、法案を成立させ、政策を実行するのは非常に困難」(『文芸春秋』9月号)といいます。とにかく数を集めることが目的で、そのためには2009年の総選挙での民主党の「マニフェスト」(政権公約)も「聖域なく見直すべき」だと、選挙公約を投げ捨てることにさえ、ちゅうちょがありません。

 こうした「大連立」に、民主党内や、当の自民党からも批判や疑問がでていますが、野田氏は「成功するまでは何度でもお願いをする。101回でもプロポーズする」(18日の講演で)と、「大連立」への執念を隠していません。

 民主党は野党時代だけでなく、一昨年の総選挙で自民党政治を批判して政権を交代したあとも、たびたび自民党との「大連立」に動いてきました。総選挙での公約を投げ捨ててまで「大連立」しようなどというのは自公政治を終わらせた国民の意思に背くものです。

 政権交代から間もなく2年を迎える民主党は、消費税の増税でも、日本の農業を破壊する環太平洋連携協定(TPP)の推進でも、米軍普天間基地の沖縄「県内移設」でも、原発への固執でも、自民党との違いがなくなっています。そうした民主党と自民党の「大連立」が、国民の願いに反した政治を力任せで国民に押し付けるものとなる可能性は濃厚です。

 野田氏自身、月刊誌に発表した「わが政権構想」では、「最大の危機は財政」として、「覚悟を持って」税と社会保障の「一体改革」を実現していきたいとのべています。野田氏がめざす「大連立」が、消費税など増税のためのものになる危険は明白です。

「二大政党」行き詰まり

 野田氏は現職の財務相として総選挙での公約に反した消費税の増税を推進し、東日本大震災の被災者を含む国民に増税を押し付ける「復興増税」を求めてきました。野田氏が「大連立」発言を繰り返しながら、その目的を堂々と国民に明らかにできないのは、「大連立」の大義のなさを証明するといわれても仕方がありません。

 民主党と自民党が一方でみにくい党派的な政争を繰り返しながら、他方で悪政を共同で推進しているのは、「二大政党」の行き詰まりを浮き彫りにするものです。国民の願いにそった政治の根本的な転換が、いよいよ求められます。





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