2011年8月18日(木)「しんぶん赤旗」

独仏会談 経済統合強化を提案

ユーロ圏 共同債は見送り


 【ロンドン=小玉純一】金融市場でのユーロ圏の債務不安が広がるもとで、サルコジ仏大統領とメルケル独首相は16日、パリで会談し、ユーロ圏17カ国首脳会議の新設と年2回以上の開催など、ユーロ圏の経済統合の強化を提案しました。この間再浮上していたユーロ共同債については将来の課題として当面退ける一方、欧州連合(EU)レベルの金融取引税を改めて提案していく方針を明らかにしました。

 会談後の共同会見で両首脳とも、ユーロ防衛と強化のため両国が特別の責任を果たす決意を強調するとともに、ユーロ圏各国に財政規律の厳格な順守を求めました。サルコジ大統領は、ユーロ圏の「経済政府」にも言及。その議長にファンロンパイEU大統領を推しました。

 サルコジ氏はまた、両国財務相が9月にEUレベルの金融取引税に関する共同提案を取りまとめることや、両国企業の法人税を2013年初めから税率で共通化することをめざす考えを明らかにしました。

 ユーロ共同債は各国国債より信用力が高いとされますが、両首脳は「欧州統合の最終段階で行われるもので初期ではない」(サルコジ氏)などとして退けました。

 これに対しては、イタリアのトレモンティ経済・財務相が13日、「共同債を発行していれば今の事態になっていなかった」と主張。米コロンビア大学教授でノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏も16日、英BBC放送で、ユーロ共同債無しにユーロ圏が生き残ることは「非常に困難」との見解を示しました。


 ユーロ共同債 単一通貨ユーロを導入した17カ国の政府が各国別に国債を発行するのでなく、ユーロ圏諸国全体で債券を発行するという構想。10年12月のユーロ圏財務相会合でも、欧州債券機関(EDA)を設立して、ユーロ共同債を発行するという提案がみられました。





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