2011年8月18日(木)「しんぶん赤旗」
福島第1 汚染水処理進まず
政府・東電が「工程表」改定
放射性物質 毎時2億ベクレル
原子力災害対策本部の政府・東京電力統合対策室は17日、福島第1原発の「事故の収束に向けた道筋」(工程表)の進展状況について発表しました。遅くとも来年1月までに原子炉を「冷温停止」状態にするというステップ2の目標や達成時期などは変更しませんでした。細野豪志原発事故担当相は「最大の課題は汚染水の処理」と述べました。
今回、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」状態を目標とするステップ2に入って1カ月の総括と今後の取り組み内容を明らかにしました。
タービン建屋地下などにたまる高濃度の放射能汚染水の処理について、処理施設の増強など「安定的処理に向けて信頼性向上策を実施」しているとしています。しかし、東電によると、6月の水処理システム運転開始以来の稼働率は69%と、低いレベルです。
原子炉冷却については、温度は安定していると評価。今後、原子炉圧力容器の底部が100度を超えている2、3号機について試験的に注水量を増加させるとしています。しかし、汚染水の処理が滞っている状況で注水量を増加させれば、新たな汚染水の増加につながるという矛盾をかかえています。
一方、使用済み核燃料貯蔵プールは、1〜4号機で循環型の代替冷却を開始し、目標を達成したとしました。
また、7月下旬〜8月上旬の原子炉からの放射性物質の放出量を試算しました。1カ月前の放出量は毎時10億ベクレルと評価していましたが、今回は最大で毎時2億ベクレルとしました。この放出量が今後1年間続いた場合、(これまでに放出された放射性物質の影響を除外して)敷地境界付近での被ばく量は0・4ミリシーベルトになるといいます。
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