2011年8月13日(土)「しんぶん赤旗」
追跡 原発利益共同体
メディア・ゼネコン・金融
監査役は東電元社長
東京電力で社長や会長を歴任してきた元役員が、メディアをはじめ、ゼネコンや金融機関の監査役を務めていることが本紙の調べで分かりました。
東京電力元社長の南直哉氏は2006年から、フジテレビやニッポン放送(ラジオ)、扶桑社(出版)などを束ねるフジ・メディア・ホールディングスの監査役に就任しています。08年からは子会社であるフジテレビの監査役にも就いています。
また、荒木浩東京電力元会長は02年からテレビ東京の監査役に就任しています。同氏は04年から鹿島建設、三井住友フィナンシャルグループ、06年からは三井住友銀行の監査役にも就いています。
鹿島建設は1957年の日本原子力研究所第1号原子炉を皮切りに原子力分野へ進出し、その後の国内の原子力関連工事の半数近くにかかわってきました。今回、過酷事故を起こした東電福島原子力発電所も67年の着工以来、第1〜6号機を施工しています。
三井住友銀行は東京電力がもっとも多額の長期借り入れを行っている金融機関です。2011年3月期決算で7695億円を借り入れています。
株式会社における監査役は、会計の監査にとどまらず、業務全体を監査します。テレビ東京によると、「取締役会は、原則毎月1回開催し、社外取締役と社外監査役をメンバーに加え、重要事項の決定や業務執行状況の監督」を行っているとしています。東京電力の元社長が経営の現場に参加していることになります。
荒木氏は93年6月から99年5月にかけて東京電力の社長を務め、その後会長に就任しています。今年4月30日までは東京電力の顧問でした。
南氏は荒木氏の後任で、社長を99年から02年にかけて務めました。現在も東京電力の顧問です。
この2人が会長職、社長職を失ったのは02年に発覚した原子力発電所の点検記録の改ざん事件がきっかけでした。過去に実施した原発の自主点検で、原子炉炉心部分の機器の検査結果や修理記録、事故などを改ざん・隠ぺいしていたのです。この不祥事の責任を取って2人は社長・会長を辞任しています。
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