2011年8月11日(木)「しんぶん赤旗」
九電やらせ資料廃棄
「迷惑かかる」と副本部長指示
第三者委調査
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再開をめぐる「やらせメール」問題で、同社が設置した第三者委員会の郷原信郎委員長は9日、福岡市で記者会見し、社内や第三者委が提出を求めた資料について「(九電が)『個人的に迷惑がかかるものは抜いておけ』などと指示し、一部は廃棄された」ことを明らかにしました。
郷原委員長は九電の態度を「露骨な証拠隠しで、事態は深刻だ」と批判し、徹底究明する考えを強調しました。
郷原委員長によると、廃棄されたのは、原発の使用済み核燃料を使うプルサーマル発電の導入に関する一部資料。「やらせメール」問題にもかかわった原子力発電本部の中村明副本部長が7月21日、部下に「個人に迷惑がかかる資料は抜いておけ」と指示し、一部が廃棄されました。さらに中村氏は、第三者委による調査が始まった後の今月5日にも、佐賀支店に提出が求められたファイルを廃棄するよう指示しました。同本部の資料は失われたものの、佐賀支店の分は内部告発に基づいて回収したといいます。
証拠隠滅が指示された前日の20日には、衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員が「やらせメール」問題を追及。九電の真部利応社長は「コンプライアンス(法令順守)意識の希薄さが主な原因。どこに問題があるか検証する」と答弁していました。
郷原委員長は、廃棄対象の資料について「政治家や県関係者、資源エネルギー庁関係者(に影響が及ぶもの)の可能性がある」との見方を示しています。
徹底究明が必要
笠井亮衆院議員の話 原子力発電本部の中村明副本部長が最初に証拠隠滅を指示したのは、私が九電の真部利応社長に「やらせメール」問題をただした翌日です。その質問直後に国民と国会を欺く証拠隠滅の行為が行われていたわけで、九電の「やらせ」問題の無反省ぶりを示しています。
「個人に迷惑がかかる資料は抜いておけ」と指示したこと自体重大です。政治家や資源エネルギー庁関係者に及ぶものもあるとされているだけに、九電をはじめこうした関係者の国会招致を行い、徹底的に究明する必要があります。
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