2011年8月9日(火)「しんぶん赤旗」
子どもを放射能から守る
対策チーム結成した福島県の親たち
除染・健康管理など求め運動
「ここに住み続けていいのか」―。福島第1原発事故以降、福島県に住む親たちが、苦悩の日々を送っています。福島県労連や新日本婦人の会などの民主団体と日本共産党でつくる、ふくしま復興共同センターは「残る人も、避難する人も、誰もが悲しい思いをしないようにしたい」と7月半ば、放射能対策子どもチームを立ちあげ活動を始めています。 (栗原千鶴)
「健康不安を抱えながら住み続けるのか、生活の見通しがたたなくても避難すべきなのか、子どもを持つ親は究極の選択を迫られています」。こう語るのはチームの一員で、3児の母(39)です。
福島市内でも放射線量が比較的高い渡利地域に住んでいます。「避難への考え方の違いで夫婦がもめた家があったり、避難したことを後ろめたく感じたり。残る側もいろいろ聞くのが、はばかられます。家族や地域が分断されてしまった。本当に悔しいです」
避難できず
2歳、5歳の保育園児と小2の子どもを持つ女性(36)=同市鳥谷野=も、立ちあげからのメンバーです。事故から3カ月ほどは、福島に住んでいていいのか悩んでいたといいます。仕事や生活費、地域のつながりなどを考えると避難できる条件は整いませんでした。
彼女は、7月に東京・明治公園で開催された「原発ゼロをめざす7・2緊急集会」に参加。「多くの人が福島に注目していることを知り、地元の人間が行動を起こさなければと思いました。何をどうしたらいいのか分からず、新婦人に駆け込みました」
こうした強い要求をもった母親たちを中心に、子どもチームとしての運動が本格的に始まります。今月2日には、学校の除染や子どもの健康管理などについて、速やかに手を講じるよう求めた「子どもたちを放射能汚染から守るための要望書」を県に提出しました。
不安抱えて
交渉に参加した母親たちは、多くの不安を抱えています。「周囲が転校すると、動揺してしまう。親も子もストレスがたまっています」「水泳や運動会が今年だけできないというのなら我慢できます。でも来年だって実施できるか分からない。見通しがたちません」「子どもが減ったら、地域の中学に上げることができるのか」
同席した神山悦子・党県議団長は「県議会は党の要求も実り、約350億円の子どもを守るための補正予算を組みました。しかし、具体的な市町村の手だてはこれからです。スピード感を持って、実行することが求められます」
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