2011年8月9日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 長崎市の東山手にある「オランダ坂」。長く延びる石畳の急坂です。幕末の開国で多くの欧米人がこのあたりにも住むようになりました。長崎の人たちは当時、この坂をよく通る彼らを「オランダさん」と呼んだそうです▼66年前のきょう、各所に異国情緒ただよう長崎の街は1発の原爆によって、一瞬のうちに廃虚となりました。7万4千人の命が一度に奪われ、その倍以上の人命が苦(く)悶(もん)とうめきのなかで失われてきました▼菅首相は6日の広島・平和記念式典で「究極的な核廃絶」を主張、日本共産党の志位委員長は「核兵器廃絶の課題を永久に棚上げするもので、歴史的逆行だ」と批判しました▼唯一の被爆国として、「核」の悲惨さ、恐ろしさを訴え、一刻も早く核兵器をなくそうと先頭に立つべき首相なのに。いったい、その目はどこを向き、歴史から何を学んでいるのか▼そのとき、爆風にさらされたオランダ坂を上りつめると、長崎海星高校があります。窓ガラスが吹っ飛んだ校舎はすでに新しい。しかし校内には、いまだに防空壕(ごう)の跡が残っています。1世紀以上の歴史をもつ同校にも、消すことのできない原爆の悲しみが刻まれているのです▼その野球部は9年ぶりに甲子園大会に出場。11日に登場する予定です。先に1回戦を突破した広島・如水館の主将は、いま野球ができることへの感謝を示し、こう話しました。「原爆で被爆された人のことも忘れてはいけない、これからの日本のことをしっかり考えていく必要があると思った」





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