2011年8月7日(日)「しんぶん赤旗」

主張

夏の事故防止

楽しい思い出を無にしない


 子どもたちの夏休みが本番を迎え、真夏の暑さが盛り返すとともに、各地で水の事故など、事故やトラブルが懸念されています。

 長い夏休みは子どもたちにとって、もっとも多彩な活動にふれあう機会です。家族や友達と出かけた海や山の体験は、一生の思い出になります。せっかくの楽しい思い出を無にしないために、家族や地域が力を合わせ、事故やトラブルをなくすことが求められます。

ルールを身につけさせて

 友だちと出かけたプールで溺れて亡くなった、海や山で思いがけない事故に巻き込まれた―今年もまた各地から伝えられている事故やトラブルの情報に、胸を痛めている方も少なくないでしょう。

 もちろん事故やトラブルは子どもだけの問題ではありません。屋外での活動が活発になる夏は、子どもたちだけでなくおとなにとっても事故やトラブルが多くなる時期です。水上オートバイなどでスピードを出しすぎたための事故や、日程や天候で無理を重ねた山での遭難などもあります。ルールを守った無理のない行動が求められますが、とりわけ子どもたちが事故やトラブルに巻き込まれるのを防ぐのはおとなの責任です。

 事故やトラブルが心配だから、何もさせないというのでは子どもたちは成長できません。子どもたちにのびのびとした活動を保証しながら、事故やトラブルに巻き込まれないよう心配りすることが求められます。

 流れの速いプールや海や川の深みなど、子どもたちだけでは危ないところへ行かないこと、花火やキャンプ、野外でのバーベキューなどでは事故がないよう十分気をつけることなど、家族やおとなが子どもたちを見守り、ルールを身につけさせることが重要です。

 数年前には、子どもたちが楽しむプールの排水口に吸い込まれ、亡くなるという痛ましい事故もありました。プールを運営する事業者や管理する自治体の責任が問われました。まさかこんなところで事故は起きないと決めてかからず、プールの監視員を増やすなど、子どもたちの安全のために万全の対策を講じることが求められます。

 事故やトラブルは日常生活の中でも起きます。子どもたちが楽しみにしている花火だけでなく、スプレー缶やライターなど、何が原因で事故が起こるかわかりません。食品が傷みやすい夏場だけに、子どもたちの食べすぎや食中毒も心配です。

 消費者庁は「節電と食中毒」にも注意を呼びかけています。節電のため冷蔵庫の開け閉めや詰め込みすぎに注意するとともに、開封・開栓した食品は早めに使い切るなどです。節電には心がけながら、子どもやお年寄りが食中毒にならないよう配慮が不可欠です。

放射能からも守る

 東京電力福島原発の事故で広い範囲に放射性物質が飛び散り、被ばくを心配して、子どもたちの野外での活動を控えさせているところもあります。放射性セシウムなど食品汚染も広がっています。

 影響が長く残る子どもたちへの対策を強めるとともに、たとえば運動場や通学路の表土を入れ替えるなどの対策が求められます。子どもたちにとって屋内で過ごすだけでは気がめいります。放射能の心配なくのびのびと跳びまわれる環境を急いで整えたいものです。





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