2011年8月7日(日)「しんぶん赤旗」
震災報告に涙、「新システム」反対
命守る重み広がる
前橋 全国保育合研集会が開会
保育者、父母らが保育について学び、語り合う第43回全国保育団体合同研究集会(主催・同実行委員会)が6日、3日間の日程で前橋市で始まりました。約5千人が参加した同日の全体会では福島の保育士が「土と太陽と空気を返して」と訴えました。津波に追われながら子どもたちを抱え、山へ逃げた岩手県陸前高田市の保育士の話は、命を守る重みを会場に広げました。
地元、群馬の保育園児350人が目をキラキラさせ、元気な歌声を披露しました。
オープニングフォーラムでは、陸前高田市の高田保育所の園長、熊谷恵子さん(58)が、3月11日、お昼寝中に地震に襲われたことを報告。パジャマ姿、はだしのまま、三十数人の子どもたちを津波から避難させたことを話しました。これまで9回の地震・津波を想定した避難訓練を実施。「ゼロ歳児3人に保育士1人、1歳児は6人に1人という最低基準では子どもの命を守れない」とのべました。
福島市のさくら保育園の斎藤美智子園長は、放射能災害に苦しめられている、と訴えました。転んで砂がついた手を不安そうに見つめる子ども、サクラがきれいな山を眺めて「お山が放射能で汚れてる」といった子ども…。保護者からは、窓を開けていいのか、ここの空気は大丈夫なのかといった不安が出され、「『ここにいることは子どもを大事にしていないことなの』と悩む保護者と真剣に話し合い、不安な気持ちを軽減する努力をしてきた」と報告しました。
「今こそ、共同の力ですべての子どもに豊かな子育て・保育環境を」と題するシンポジウムでは「戦後最大の保育の危機です。保育を市場にゆだね、産業化していく『子ども・子育て新システム』に反対する戦後最大の運動をつくり、反対署名を大きく広げましょう」と全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長がよびかけました。
■関連キーワード